説得は時間の無駄だと得心した斉彬は、二丁の短銃を手にして、「天の声を聞こう」と提案する。一方の短銃にのみ銃弾を入れて斉興に選ばせ、その短銃をこめかみに当てて引き金を引く。命懸けの“ロシアンルーレット”に勝利した斉彬は、薩摩藩主となる。
●西郷の出世のきっかけは“ガチンコ相撲”!?
島津家別邸で開かれた御前相撲で、見事優勝を果たした西郷に、斉彬が「次はわしと! いざ勝負じゃ!」と申し出る。これに西郷もガチンコ勝負で挑み、あろうことか土俵下にまで投げ飛ばしてしまう。
結果、牢獄へと入れられてしまうが、その薩摩隼人ぶりが斉彬のお眼鏡にかない、西郷は出世街道へ。
歴史作家の井手窪剛氏によれば、「西郷家には相撲がたいそう強かった剛力の祖先がいたのは史実」とか。
●西郷がジョン万次郎と牢屋で鉢合わせ!?
斉彬を投げ飛ばした不敬の咎で牢に入れられた西郷は、そこで異国の歌を唄う風変わりな日本人と出会う。その男こそ、米国船で薩摩藩に密航し、捕らえられたジョン万次郎。史実でも確かに琉球で拿捕され、薩摩に連行されているが……。
「斉彬が万次郎に質問をした記録は残っています。ただ万次郎を斉彬に引き合わせたのが西郷というのは少し無理がある」(井手窪氏)
※週刊ポスト2018年1月26日号