最後に拙著『未完の西郷隆盛 日本人はなぜ論じ続けるのか』(7)を取り上げさせていただきたい。福沢諭吉、中江兆民から江藤淳、司馬遼太郎までが、いかに自分が理想とする「国のかたち」を西郷に投影したか、そのなかで天皇をどのように考えていたかを読み解いた。

 天皇を考えることで日本国と日本国民が見えてくる。どのように天皇を語るかによって、理想とする「この国のかたち」が見えてくる。

【書籍紹介】

(1)「超国家主義の論理と心理」──丸山眞男著、1946年、岩波文庫『超国家主義の論理と心理 他八篇』所収、本体1380円+税

(2)「堕落論」──坂口安吾著、1946年、岩波文庫『堕落論・日本文化私観 他二十二篇』所収、本体910円+税

(3)『国民統合の象徴』──和辻哲郎著、1948年、『和辻哲郎全集  第十四巻』所収、岩波書店、中古価格

(4)「天皇および天皇制について」──吉本隆明著、1969年『戦後日本思想大系5  国家の思想』(編集/吉本隆明)所収、筑摩書房、中古価格

(5)「文化防衛論」──三島由紀夫著、1968年、ちくま文庫『文化防衛論』所収 他、本体780円+税

(6)『翔ぶが如く』──司馬遼太郎著、1972年~1976年連載、文春文庫全10巻、各巻本体660円ないし680円+税

(7)『未完の西郷隆盛  日本人はなぜ論じ続けるのか』──先崎彰容著、2017年、新潮選書、本体1300円+税

◆書籍データ中の刊行年(発表年)は最初の版のもの。版元、価格は現在入手できるおもな版のもの。

【PROFILE】せんざき・あきなか/1975年生まれ。東北大学大学院博士課程修了。日本大学教授。主な著書に『違和感の正体』(新潮新書)、『ナショナリズムの復権』(ちくま新書)。近刊に『文明論之概略 ビギナーズ 日本の思想』(全訳、解説。角川ソフィア文庫)。

※SAPIO 2018年1・2月号

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