国内

がん死亡者減少率1位の広島は医療ネットワーク充実の先駆け

広島がかんの死亡率が減少している理由とは?(写真/アフロ)

 がんの“生存率”を示す数値として、国際的に用いられている「IM比」(『がんに罹った患者数』÷『死亡者数』)。値が大きいほど、がんになっても亡くなりにくく、小さいほど亡くなりやすいことを示す。

 乳がん、大腸がん、胃がんにおけるIM比を都道府県別にランク付けした場合、すべてで3位以内にランクインしたのが広島県だ(乳がん1位、大腸がん1位、胃がん2位)。広島県では、がんの死亡率が大幅に減少しているという。

 2011年に、75才未満のがん死亡者数は人口10万人当たり80.5人だったが、2015年の時点で72人(全国平均78人)に減少。1995年から20年間の死亡者減少率は約36%と全国一だ。

 今回について、広島県健康福祉局がん対策課の佐々木真哉課長はこう話す。

「がんの早期発見ができているとともに、適切な治療に結びつき、生存率の向上につながっているのではないでしょうか。実は、県のがん検診受診率は、5大がん(胃・大腸・肺・乳房・子宮)の検診すべて全国平均を下回っています。それでも生存率が高いのは、医療機関へアクセスしやすい環境にあるからだと考えています。実際に、人口10万人当たりの一般診療所数は90.8施設(全国8位)と高い水準です」(「」内、以下同)

 つまり、広島県では体に異常を感じた段階で病院を受診し、がんの早期発見と治療につながっていると考えられるのだ。加えて、広島県は全国に先駆けて県独自の医療ネットワークを構築している。

「2009年に全国で初めて乳がん医療ネットワークを構築し、今では5大がんすべての医療ネットワークを構築しています。5大がんそれぞれに検診施設、精密検査施設、治療施設、治療後のフォローアップ施設を設け、一定水準をクリアするようにしています。

 たとえば検診施設なら、機器の種類や検査技師の専門資格が基準をクリアしていないと登録できません。今ではこのようなネットワークが全国に広がっていますが、広島県が先駆けでした」

 患者が治療と仕事を両立できるような取り組みも積極的に行っていて、学習院大学や県立広島大学と協力し、県内企業の就労支援体制を評価する指標も作っている。

※女性セブン2018年2月15日号

関連記事

トピックス

“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン