スポーツ

本田圭佑の対談番組を見て「僕は嫌だ!」と叫びたくなった話

人間力にこだわりがある本田圭佑(イラスト/ヨシムラヒロム)

 2018年はサッカーW杯イヤー。自然とサッカーやサッカー選手関連の情報が増えてくる。新しいスターになるのは誰なのか、ベテラン選手は大きな大会のあと、どんな道を選ぶのか。代表復帰を期待する声も大きい本田圭佑は、最近、新ビジネスへ参加するらしいと報じられた。先んじて、昨年10月、突然、本田圭佑がホストとして教育やビジネスの第一人者たちとの対談番組『KEISUKE HONDA CAFE SURVIVE』(Amazonプライム・ビデオ)が配信された。イラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が、対談によって明らかになる本田圭佑が理想とする世界について考えた。

 * * *
 2017年10月にAmazonプライム・ビデオにて『KEISUKE HONDA CAFE SURVIVE』が配信された。サッカー日本代表の本田圭佑がオーガナイザーを務める対談番組である。

 1986年生まれの本田と筆者は同世代。日本代表で躍動する本田を見るたびに「僕の世代で一番サッカーが上手い人なんだよなぁ」と感慨深い気持ちとなる。

 また、ピッチ外の本田の行動を見れば、元日本代表の中田英寿を喚起しちゃう。本田のファッションや立ち居振る舞いは、中田に似ている。本田が中田に影響を受けたかは分からない。日本代表のエース同士、元来似たメンタルをお持ちなのだろうか。

 対談番組やっちゃう感じとか、日本代表のエースはなぜ社会活動家っぽくなるのか。気になるばかり。番組でその答えは見つかるか!?

『KEISUKE HONDA CAFE SURVIVE』、エピソード毎のタイトルが先鋭的。

「KEISUKE HONDA CAFE SURVIVE VS ゲスト名」だからね。この”VS”がこの番組のキモなのか、激しいトークバトルが繰り広げられるのかと思いきや……。火花散る意見のぶつかり合いは一切なく、「本田、ビジネスはじめるってるよ」的なおさまり。経済、教育、政治への意識が高い本田の興味の赴くままトークは推進。

 対談する本田、根本的に視聴者のことなど一切気にかけない。自分が聞きたいことまんまをゲストにぶつける、公私混同コンテンツ。

 下記が各回のゲスト陣。

1、2話ゲスト:第5代Jリーグチェアマン・村井満
3話ゲスト:技術系の人材派遣会社経営者・嶋岡学
4話ゲスト: 日本語AI研究のトップランナーでゲーム「シーマン」開発者・斎藤由多加
5話ゲスト: 料理レシピ動画サイト「クラシル」を運営するdely株式会社 代表取締役・堀江裕介

 70校あるサッカースクールの経営者であり、オーストリアとカンボジアにプロサッカークラブを持つ本田。ゆえに尽きないのが心配事。けっこう明け透けに、自身の悪戦苦闘ぷりを表明し、ゲストに相談する流れへと至る。そして、悩みを打ち明ける。

◆軟弱化した日本にイラつく本田

 相談する本田、アドバイスをするゲスト。そして、行き着くトークテーマは「人間力」について。本田はこのフレーズが兎に角大好き。「メンタルだけでやってきた」と自身を評す。世界を回った末に気づいた、日本人のハングリー精神のなさに心底イラついてる心模様。

「まずは教育自体を改革しなければならない」とも熱く語る、これも毎度おなじみ。家庭の事情から祖父母に育てられた本田。毎日頭を叩かれて、厳しく育てられたという。

「僕自身、叩かれて育ったから強くなれた、今だからこそ、愛ある暴力のありがたみ享受していますね」と語る。

「愛さえあれば、暴力による指導も良いのではないか」と提案する。

 本田は成功したから良いが、頭を叩かれて教育されたのにも関わらず、成功しなかったら最悪だ。そんなことを真っ先に考えた僕は、本田がいう軟弱化した日本代表なのだろう。

 番組中、本田は常に笑顔を振りまく。楽しくて、楽しくて仕方ないといったテンションの高さ。

 3話のゲスト、嶋岡学の「尊敬されている人はいますか?」といった何気ない質問。そこから笑顔のヒミツも理解が紐解かれた。

「尊敬するのは、2010年南アフリカW杯の監督・岡田武史さんですね。道徳的な行動がサラッとできる人で。サッカー関係者では少ない人格者ですね!」と回答。わざわざ”少ない”を足すところが真意、些細な問答からこぼれる本音が面白い。

関連キーワード

関連記事

トピックス

世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
浅香さんの自宅から姿を消した内縁の夫・世志凡太氏
《長女が追悼コメント》「父と過ごした日々を誇りに…」老衰で死去の世志凡太さん(享年91)、同居するスリランカ人が自宅で発見
取締役の辞任を発表したフジ・メディア・ホールディングスとフジテレビ(共同通信社)
《辞任したフジ女性役員に「不適切経費問題」を直撃》社員からは疑問の声が噴出、フジは「ガバナンスの強化を図ってまいります」と回答
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン
虐待があった田川市・松原保育園
《保育士10人が幼児を虐待》「麗奈は家で毎日泣いてた。追い詰められて…」逮捕された女性保育士(25)の夫が訴えた“園の職場環境”「ベテランがみんな辞めて頼れる人がおらんくなった」【福岡県田川市】
NEWSポストセブン
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
NEWSポストセブン
アスレジャースタイルで渋谷を歩く女性に街頭インタビュー(左はGettyImages、右はインタビューに応じた現役女子大生のユウコさん提供)
「同級生に笑われたこともある」現役女子大生(19)が「全身レギンス姿」で大学に通う理由…「海外ではだらしないとされる体型でも隠すことはない」日本に「アスレジャー」は定着するのか【海外で議論も】
NEWSポストセブン
中山美穂さんが亡くなってから1周忌が経とうとしている
《逝去から1年…いまだに叶わない墓参り》中山美穂さんが苦手にしていた意外な仕事「収録後に泣いて落ち込んでいました…」元事務所社長が明かした素顔
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)(Instagramより)
《俺のカラダにサインして!》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)のバスが若い男性グループから襲撃被害、本人不在でも“警備員追加”の大混乱に
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏の人気座談会(撮影/山崎力夫)
【江本孟紀・中畑清・達川光男座談会1】阪神・日本シリーズ敗退の原因を分析 「2戦目の先発起用が勝敗を分けた」 中畑氏は絶不調だった大山悠輔に厳しい一言
週刊ポスト