スポーツ

相撲協会の不透明な慣習、その象徴が謎の「年寄株」

角界は不透明な慣習が多い(共同通信社)

 日本相撲協会は2014年に公益財団法人に移行。組織の透明性を高めるための“改革”がこの時も行なわれたが、今でも不透明な慣習が数多く温存されている。その象徴が、親方衆の持つ「年寄株」だ。

「年寄株の数は105と決まっている。年寄株が埋まっていれば誰かから譲ってもらうしかない。典型的な『既得権』です。売買が横行したバブル期には数億円まで高騰しました。〈相撲の継承発展〉を掲げながら、協会に残って後進を指導できるかはカネ次第になった」(若手親方)

 公益法人化に伴って年寄株の売買禁止が定款に明記され、名跡証書は協会の一括管理となった。ところが、これも有名無実化されているという。

「年寄名跡の継承者が前所有者に『指導料』を支払うことは認められていて、実態としては年寄株のためにカネが動いている。結局、“大金を払って年寄株を手に入れたのに、タダで渡したくない”という既得権者の理屈が通っている状況です」(ベテラン記者)

 現役力士や退職した元親方が所有する年寄株を引退力士が一時的に襲名する「借株」も、公益法人化の際に原則禁止が打ち出されたが、例外だらけの状況だ。

「9人いた借株の親方には、3年間だけ特例的に現状維持が認められたが、3年以上が過ぎた今も6人の借株の親方がいる。2013年に引退した寶智山(ほうちやま・元前頭)は借株で『君ヶ濱』(所有者は現前頭・隠岐の海)を襲名してそのままだし、移行後の2016年に引退した元前頭・土佐豊までも借株で『安治川』(所有者は現前頭・安美錦)を襲名した。理事会はルールを変更せず、例外ばかり増やしている」(担当記者)

 借株の親方は、理事選で1票を投じる際には「所有者の意向」を優先するという慣例もある。ひとつひとつの“伝統”に、既得権者の意向が通りやすくなる構造が潜んでいるのだ。協会に借株が残っている理由などについて問うたが、締め切りまでに回答を得ることができなかった。

※週刊ポスト2018年2月16・23日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン