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アイリスオーヤマのLED 東日本大震災から需要拡大した

ナショナル家電メーカーも一目置く存在になったアイリスオーヤマ『アイリスオーヤマ』

 かつて世界を席巻した日本の家電ブランド。だが、今やグローバル競争に敗れて衰退の一途を辿っている。

 そんな中、ひとり気を吐くのが『アイリスオーヤマ』だ。もともとは生活用品製造卸を主としていた企業が大手家電メーカーを脅かすまでに成長を遂げた背景には、強烈なリーダーの存在があった。

 大山健太郎社長(72才)が成長の過程で社員に徹底させたのは「生活を快適にする」という消費者、特に主婦目線のコンセプト。その象徴が今では一般家庭に当たり前のように置いてある“透明な衣装ケース”だ。アイリスオーヤマ広報の松下沙樹さんはこう語る。

「30年前、大山社長がゴールデンウイークにお仲間と釣りに出かけようとしたときのことです。5月にもかかわらず寒い日で、社長は自宅の押入れに頭を突っ込んでセーターを探したそうです。

 しかし、なかなか見つからない。家中の衣装ケースを引っ張り出しましたが、結局、お目当てのセーターが見つかったのは、最後の衣装ケースの底だった。そんな苦労を経験した大山社長は衣装ケースを透明にすればいいじゃないかと思いつき、商品化を進めたのです」

 こうして発売した透明な衣装ケースは予想を上回る売り上げを記録した。生活用品で成功を掴んだ大山社長。だが、家電の街・大阪で生まれ育った彼には憧れがあった。それが「家電」だ。

 2009年に製造販売を開始したLED照明が家電業界参入のきっかけだった。

「節電効果が期待されたLEDですが、弊社の参入前は電球1つが数千円の世界でした。『これでは一部のお金持ちしか買うことはできない。全ての人に行きわたってこそ、本当の節電効果が得られるはずだ』と考えた大山社長は、より手軽な価格で提供できるLED照明の開発を急ぎました。

 当時のLED電球を観察すると、接続部分から上半分がアルミ製でした。『この部分をプラスチック製にすることができれば、消費者が手に取りやすい価格で販売できる』と気がついた大山社長は、弊社のそれまでのノウハウを生かしてプラスチック製のLED照明を作り上げました」(松下さん)

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