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“紙の町”苫小牧 新聞業などのメディアの発展に貢献

リールと呼ばれる巨大な機械

 苫小牧のシンボルといえば、大きな煙突。これは、大手の製紙会社『王子製紙』の苫小牧工場のもので、この地が“紙の町”と呼ばれるようになったことと深いかかわりがある。

「明治43(1910)年の操業開始当時から、ここでは主に新聞などに使われる紙を作っています。1日の生産量は約3000tで、そのうちの8割が新聞紙用、残りが雑誌などに使われる印刷用紙を生産しています」(苫小牧工場案内係の小松美香さん・以下同)

 この工場は、明治時代から日本の製紙業だけでなく、新聞業などのメディアの発展にも大きく貢献したといわれている。

「苫小牧に製紙工場ができたのは、原材料となる木材が近郊に豊富にあったこと。また近くには、支笏湖があり、水力発電による動力確保ができたことなどがあげられます」

 同工場では工場見学(要予約)を行っており、歴史的建造物も見られる。例えば、旧事務所は大正時代に建てられ、日本の近代化産業遺産群にも指定。レンガ造りで、大正ロマンが感じられる。

 また苫小牧周辺には、王子製紙以外にも自動車工場や製油所などがあり、道内屈指の工業地帯なのだが、樽前山麓をはじめ、手つかずの自然が多く残る地域でもある。特に支笏湖の水は摩周湖にも匹敵する透明度を誇る。

 一方で、勇払原野に生える黒紫の実はハスカップといわれ、主にここで自生していることから、苫小牧のもう1つの名産になっている。この実のジャムを使ったロールカステラは『よいとまけ』と名づけられているが、それは、明治から大正にかけて製紙工場の木場で働く人々の掛け声“よいとまぁけ”が由来となっている。

 自然豊かなこの地で、環境に配慮しながら今日も工場では“紙”が作られている。

※女性セブン2018年3月8日号

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