一例が、AIを利用した婚活・恋活マッチングアプリ『aite(アイテ)』。利用者はアプリをダウンロードして会員登録してから、AI婚活エージェント“相手結(あいてゆい)”からの「毎日連絡を取り合いたいですか?」といった質問に次々と答えていく。
その返答をベースに、相性がいいと思われる相手をAIが紹介する。気になる相手がいたら「いいね!」を返し、相手から「いいね! ありがとう!」が届いたらマッチング成立。個別に連絡を取り合うことになる。
AIの力が生かされるポイントは、“結”からの質問だ。同社広報の尾崎佳苗さんが言う。
「質問内容は利用者の性格、価値観、趣味、嗜好、生活習慣など多岐にわたり、最終的に300問を超えます。AIを利用するのでデータを蓄積するほどマッチングの精度が上がって、相性のいい人を毎日何人もご紹介できます。当然その分、マッチングが成功する確率も上がります」
アプリの主な利用者は20~30代の“スマホ世代”で男女比は半々。
「データ分析とAIを活用することで、自分では思いもよらなかったけれど、実は相性のいい人を紹介できることが最大の魅力です。また、結婚相手に求める条件について、人間のエージェント相手には恥ずかしくてなかなか言いにくいことも、AI相手なら素直に伝えられるという大きなメリットもあります」(尾崎さん)
ロボット開発会社・ユカイ工学が製造した“見守りロボット”の『BOCCO』を利用する家族もAIが「人と人をつなぐ」力を実感している。同社CMOのPR担当・冨永翼さんは言う。
「親が直接『お風呂に入って』『宿題をやって』と指示すると反抗する子供が、『BOCCO』を通して言われるとすんなり言うことを聞くそうです。コミュニケーションにロボットというワンクッション置くことで、お互い感情的にならないで済むのがその理由でしょう。それに子供の友達が遊びに来た時、スマホで『〇〇ちゃんようこそ』『今日は楽しんでいってね』と入力して『BOCCO』にしゃべらせると、つかみは完全にOK(笑い)。ロボットのおかげで子供同士が盛り上がって仲よくなったという利用者のかたの声も届いています」
夫婦の間で、直接話すと角が立つような話題もコミュニケーションロボットが間に入ることによって改善することもある。AIにはそんな不思議な魅力があると語るのは、獨協医科大学情報基盤センター長教授の坂田信裕氏だ。
「ロボットがいることで、会話が生まれたり言いにくい話題を出せたりする。奥さんがペットに愚痴を言いながら、実はご主人に聞かせているようなものです(笑い)」
それもAIの持つ“つなげる能力”の1つである。
※女性セブン2018年3月15日号