「母が亡くなる前には、ヘルパーさんに朝昼晩と1日3回来宅してもらい、週1回は医師の訪問、そして週2回の訪問看護をお願いした上で、親戚のおばさんが週4日も泊まり込んでくれました。私も朝夕にと母のもとを訪れ、何気ない日常を語らいました。それでも夜、自室に帰るときにはいつも『いつ来る?』と聞くので、『明日の朝来るよ』と笑うと、『そうね、待ってるね』と。やはり寂しい気持ちもあったのかな」
昨年1月、劇団新派に入団し、河合雪之丞を襲名。母の正子さんも、息子の新たな門出を喜んでくれた。
「昨年暮れ、夜、ミルクティーを作ってあげると、おいしそうに飲み干して、翌朝、眠るように亡くなりました」
ショートステイ中で自宅にいなかった父の宣質さんは、取り乱すこともなく、帰宅後、妻の亡骸に「よくがんばったね」とひと言。その姿に夫婦の深い絆を感じたと、雪之丞さん。
「介護や看取りにおいて、何が正解ということはないと思うけれど、母の最期には家族と介護スタッフや周囲の人がしっかりかかわり、好きな自宅の日常の中で穏やかに生涯を終えました。まあまあ満足してくれているのでは、と思っています」
※女性セブン2018年3月15日号