角居厩舎の場合、目一杯スピードをあげて長い距離を追い続けることは、基本的にはやらない。パワートレーニングの意味合いを考えて重い助手が乗ってもいいと思っています。馬も、多少重くてもリズム変換を巧くやってくれる乗り手がありがたいのです。
以前にも書いた「慣性の法則」。加速させるときには鞍上は軽いほうがいいのですが、スピードに乗ってからの重さはマイナスにならない。優秀な助手は、慣性の法則をセンス良く利用します。
助手ががんばり、馬も気分よく走り、充実した調教ができたとします。人事を尽くして、あとは本番を待つのみという晴れやかな心境なのに、意外なことに、ひとつだけ困ったことが起こる場合がある。
ハンデ戦に出馬するとき、調教の状態がよいとハンデが跳ね上がるのです。かつてはレース実績で決めていた(決まっていた?)ものが、近年では調教状態も加味するようになってきた。
つまり基準がわかりにくくなっている。われわれ陣営が「54キロくらいかな」と思っていると、実際は56キロなんていうことすらあり、「ほんまに、勘弁してくださいよ」などと漏らしてしまいます。調教師のコメントに「56キロとは見込まれた」というのがありますが、内心では「冗談じゃないよ!」と、たぶん憤っている(笑い)。