芸能

親韓派日本人女優の善意はこうして韓国に裏切られた

「帰郷記念碑」近くで抗議する市民団体 共同通信社

 著名な日本人のなかで女優の黒田福美は有力な親韓派といっていいだろう。韓国ガイドのベストセラーである『ソウルの達人』の著者であり、韓国語が達者で韓国のテレビにも出演している。韓国政府からは友好親善の功績で勲章をもらっているし、韓国の自治体の“観光大使”になったこともある。韓国との付き合いは長く、並みの韓国通ではない。韓国で有名な日本人の一人である。

 筆者(黒田勝弘)とは日韓がらみのセミナーや講演会などでしばしば席を共にしている。彼女の韓国での出版記念会では祝辞を述べさせられたりもした。しかも姓が同じことから、彼女について筆者は私席ではよく「ボクの妹」とか「別れた女房」などと冗談をいってきた。そんなこんなの親近感からこの稿では敬称抜きで書かせてもらう。

 その彼女が昨年、『夢のあとさき─帰郷祈願碑とわたし』(三五館刊)と題する本を出版し、送ってきた。日韓関係史上きわめて貴重なものなのでぜひ紹介しておきたい。これは「自他共に許す親韓派の黒田福美が韓国でなぜ裏切られたか」の体験的記録であり、年間700万人もの韓国人が日本を訪れ日本を楽しんでいる韓国で、なぜ今なお「反日」なのかというナゾ解きをしてくれる。

 韓国通で親韓派の黒田福美はある時、夢枕に立ったという韓国人特攻隊員(卓庚鉉、日本名・光山文博)への思いから韓国にその慰霊碑を立てることを志す。遺族は彼女に感謝し、多くの紆余曲折があったが慰霊碑は「帰郷祈念碑」として完成し、韓国メディアも好意的に伝えるなか2008年5月、故郷に近い慶尚南道・泗川市の公園で除幕式が行われるところまでこぎつけた。碑文は特攻隊員のみならず日本の戦争で犠牲になった韓国人すべてを慰霊、追悼するものだった。

 ところが除幕式の当日、民族団体など反日デモが押しかけ大騒ぎとなった。除幕式は急きょ中止となり、石碑は撤去されてしまった。敷地は市が提供し市長以下、市当局の協力・支援で碑の設置が決まっていたのに、反対が表面化したことで市当局など協力者は手を引いてしまったのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ギリシャ訪問を無事終えられた佳子さま(時事通信フォト)
佳子さま、ギリシャ訪問時のファッション報道がフィーバー「北風と太陽」注目されるプリンセスの動向
NEWSポストセブン
5月27日に膵癌のため76才で死去した今くるよさん(写真は2007年)
《追悼・今くるよさん逝去》弟弟子の島田洋七が明かした意外な素顔「マンションの壁をぶち抜き」「特注のステージ衣装を“姉妹”で150着」
NEWSポストセブン
日本中を震撼させた事件の初公判が行われた
【絶望の浴室】瑠奈被告(30)が「おじさんの頭持って帰ってきた」…頭部を見た母は「この世の地獄がここにある」 ススキノ事件初公判
NEWSポストセブン
【初主演海外ドラマが続編決定】山下智久、ワールドワイドな活躍を支える「夜遊びやめてジム通い」「家族による万全のサポート」
【初主演海外ドラマが続編決定】山下智久、ワールドワイドな活躍を支える「夜遊びやめてジム通い」「家族による万全のサポート」
女性セブン
容疑者
《ススキノ・ホテル殺人》初公判で判明した「瑠奈ファースト」な一家の歪み「母親が書いた奴隷誓約書」「父親はドライバーさん」
NEWSポストセブン
愛子さま
愛子さま、近い立場で他愛のない話をできるのは佳子さまだけ 「どこのコスメを使われているのですか?」と真剣に相談も
女性セブン
小学館が公表した「調査報告書」より抜粋
ドラマ『セクシー田中さん』脚本家の交代要請は妥当だったのか 小学館調査報告書のポイント
NEWSポストセブン
黒柳徹子のミュージアムができる
【人生の集大成】黒柳徹子の“ミュージアム”が軽井沢に建設中 計画をリードするのは“ビーズ界のカリスマ”
女性セブン
世界で活躍する真田
【全文公開】真田広之がサシ飲みでエール 俳優転身の次男・手塚日南人が明かす“知られざる離婚後の家族関係”
女性セブン
手指のこわばりなど体調不安を抱えられている(5月、奈良県奈良市
美智子さま「皇位継承問題に口出し」報道の波紋 女性皇族を巡る議論に水を差す結果に雅子さまは静かにお怒りか
女性セブン
今シーズンから4人体制に
《ロコ・ソラーレの功労者メンバーが電撃脱退》五輪メダル獲得に貢献のカーリング娘がチームを去った背景
NEWSポストセブン
兄弟
《愛情秘話》平野紫耀&莉玖兄弟、病気を乗り越え育ててくれた母への感謝「頑張っているのは親のため」「ダンスに関しては厳しかった」
女性セブン