野球の能力に長けた選手は、プロをはじめ、大学や社会人など、可能な限り“上”でも野球を続けたいという意思を持つ。そういった意味では、企業への就職に有利な工業高校は選手の選択肢から外れやすいのかもしれない。さらに、少子化のあおりで県下の高校はクラス数が減少傾向にあり、同校でも昨年まで1学年5クラスだったのが、現在は4クラス(計160人)に。野球部員は新3年生と新2年生で26人だ。
「現実として、チームの目標は、ブロック予選を勝ち抜いて(ベスト16となる)県大会に出ること。一生懸命頑張る子どもたちの力を少しでも伸ばしてやりたい」
53年前の凱旋パレードの際、選手が乗ったオープンカーに月桂樹の苗が投げ込まれた。その月桂樹は今、同校の中庭に移植され、かつての炭鉱町に育った球児を見守っている。
※週刊ポスト2018年4月6日号