スポーツ

甲子園勝率10割の三池工業 甲子園から遠ざかっている理由

三池工業の次郎丸監督と優勝旗(撮影:藤岡雅樹)

 現在、甲子園球場では選抜高校野球大会が開催されている。今年は第90回という節目の大会だが、すっかり姿を消したのが商業高校や工業高校だ。今大会出場36校のうち、公立の商業高校は富山商業のみ。1956年に初出場で初優勝した三池工業(福岡県)も、その後甲子園に1度も出場していない。ノンフィクションライターの柳川悠二氏がレポートする。(文中敬称略)

 * * *
 1965年夏、炭鉱町として栄えてきた福岡県大牟田市は快挙に沸いた。原辰徳(元・巨人)の実父である原貢が監督を務める県立三池工業が甲子園初出場ながら初優勝を飾った。世界遺産・三池炭鉱宮原坑のガイドが当時の様子を話してくれた。

「ちょうど燃料が石炭から石油へと切り替わるエネルギー革命の時期にあたる昭和35(1960)年、大量解雇の方針により労働争議(三池争議)が起きた。それがようやく片付いた矢先、昭和38年に三川坑で458名が亡くなる炭塵爆発事故がありました。町が暗く沈んだ時期に、明るいニュースとして届いたのが三池工業の優勝でした」

 甲子園から戻ってきた三池工業のナインは、小倉駅から大牟田までの約150キロをパレードし、炭鉱町に一時の灯を灯した。しかし、三池炭鉱の廃鉱と共に、町の人口は減少の一途をたどり、野球部の甲子園出場は一度きり。全国に2校しかない甲子園勝率10割(5勝0敗)の学校だ。

 3年前に発足したOB会の会長が、優勝メンバーで捕手だった穴見寛である。

関連記事

トピックス

「全国障害者スポーツ大会」を観戦された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月26日、撮影/JMPA)
《注文が殺到》佳子さま、賛否を呼んだ“クッキリドレス”に合わせたイヤリングに…鮮やかな5万5000円ワンピで魅せたスタイリッシュなコーデ
NEWSポストセブン
クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン
遠藤
人気力士・遠藤の引退で「北陣」を襲名していた元・天鎧鵬が退職 認められないはずの年寄名跡“借株”が残存し、大物引退のたびに玉突きで名跡がコロコロ変わる珍現象が多発
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《スイートルームを指差して…》大谷翔平がホームラン後に見せた“真美子さんポーズ”「妻が見に来てるんだ」周囲に明かす“等身大でいられる関係”
NEWSポストセブン
相撲協会と白鵬氏の緊張関係は新たなステージに突入
「伝統を前面に打ち出す相撲協会」と「ガチンコ競技化の白鵬」大相撲ロンドン公演で浮き彫りになった両者の隔たり “格闘技”なのか“儀式”なのか…問われる相撲のあり方
週刊ポスト
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《「策士」との評価も》“ラブホ通いすぎ”小川晶・前橋市長がXのコメント欄を開放 続投するプラス材料に?本当の狙いとは
NEWSポストセブン
女性初の首相として新任会見に臨んだ高市氏(2025年10月写真撮影:小川裕夫)
《維新の消滅確率は90%?》高市早苗内閣発足、保守の受け皿として支持集めた政党は生き残れるのか? 存在意義が問われる維新の会や参政党
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
注目される次のキャリア(写真/共同通信社)
田久保真紀・伊東市長、次なるキャリアはまさかの「国政進出」か…メガソーラー反対の“広告塔”になる可能性
週刊ポスト
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン