3つ目は、ブランドステータスの伸び悩みである。ユニクロが同じ安物ながら、ジル・サンダー、クリストフ・ルメールやJWアンダーソン、イネス・ド・ラ・フレサンジュなどといった超有名デザイナーとコラボをすることでブランドステータスを高めてきたが、しまむらにそういう取り組みはなかった。

“しまらー”の出現でファッション的にも見直されたしまむらだが、ステータス性が高まったとまではいえない。せいぜい、ちょっとオシャレな安物屋の域から出ていない。

 最後にEC(ネット通販)の取り組みへの出遅れである。ようやく昨年にネット対応を発表したがそれは個別宅配のネット通販ではなく、インターネットを使って自分の気に入った商品を指定した店舗へ取り寄せるというサービスに過ぎなかった。

 しまむらは自社独自の物流システムを持っているからそれを活用したところまでは良かったが、注文した客は指定した店舗へ「わざわざ」受け取りに行かねばならない。通勤・通学の途中やターミナル駅に出店しているユニクロと異なり、郊外のロードサイドにしかないしまむらへ取りに行くことはかなり不便であり、このサービスが大きく伸びるとは考えにくい。

 イギリス発の低価格SPAブランド「プライマーク」がアメリカで苦戦を続けているというが、その理由はネット通販を行っていないからだといわれる。アメリカはネット通販大国だが、欧州は総じてそれほどネット通販が盛んではない。さらにプライマークは薄利ブランドなので、ネット通販を整備すると利益が吹き飛んでしまうからこれまで手付かずの状態が続いた。

 しまむらは今後ネット通販に参入する意向だが、これまで宅配のネット通販に慎重だったのは、プライマークと同じ薄利という理由ではないかと見ている。

 このように、しまむらの苦戦はさまざまな要因が複合的に絡み合っているので、「ここだけ改善すれば即座に業績が回復する」というものではないし、すぐさま再び成長軌道に乗るとは考えにくい。

 私は、しまむらの停滞期はもう少し続くのではないかと見ているが、どうしても気になるのはユニクロ型の大量生産へのビジネスモデルの転換だ。これに失敗すれば、かなりの危機に見舞われるのではないかとも思う。

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