そんな山田氏が、昨今はいつになくご立腹の様子。特に芸能界や政界で相次ぐ〈ゲス不倫〉騒動の騒ぎ方に対してである。〈そもそも色恋の悦楽って、倫理から、どうしても逸脱してしまうままならなさにあるのでは?〉〈犯罪にならない不道徳は、世の中を彩る……こともある〉〈第三者はおもしろがりこそせよ、糾弾するのは不粋というもの〉だと。
「日本文学自体、ゴシップの歴史そのものだし、人の色恋を断罪できる小説家は一人もいないと思う。最近は暴いたメディア側を叩く人も多いけれど、それなら読まなければいいんです。世の中、お利口さんだらけになっても面白くないけれど、第三者でも騒ぎに便乗して人を攻撃していいというような風潮には、少なくとも私は乗れないかな」
副題に「うしうしゴシップ」とあるが、食後のアイスを楽しみつつ、テレビの前でああでもないこうでもないと茶々を入れる夫婦は、正義の類いを振りかざすことがないだけに、健全で微笑ましい。
10歳年下の夫と、「夜道でハーモニカを吹いていたら声をかけられて(笑い)」再婚したのは2011年秋。好みを超えて何でも語り合う2人は大のぬいぐるみ好きでもあり、友人のアーティストが作った白い猫のマスコットを〈スノー〉と呼んで密かに偏愛しているとか。
〈以来、山田家では、小さくて愛くるしく、「かそけき者」と呼びたくなるものすべてにスノーと命名〉〈歌も作りました〉〈スノー、スノー、みんな大好き、とっても可愛いスノー〉……〈馬鹿? ええ、そうです〉