「あの時代を経験したおかげでわかることもある。でも、夫と神戸の港近い定食屋で飲む昼酒とか、金額より相手や居心地が優先の傾向は変わっていないです。ただし小説を書く時の私はまた別。執筆中は誰も助けてくれない分、自分だけのサンクチュアリみたいな時間で、何を置いても大事にしたい。そんな風に譲れないものを人それぞれに大事にできれば、十分だと思うんです」

 必要なのは愛する人々と、美味しいものと、「自分を笑える」ユーモア。人生の甘露苦露を利己的に味わい尽くしてこそ大人で、「人を嘲笑うこととユーモアは違うから!」と彼女は笑う。

【プロフィール】やまだ・えいみ:1959年東京都生まれ。1985年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞を受賞し作家デビュー。1987年『ソウル・ミュージック ラバーズ・オンリー』で直木賞、1989年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、1991年『トラッシュ』で女流文学賞、1996年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2001年『A2Z』で読売文学賞、2005年『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞、2012年『ジェントルマン』で野間文芸賞、2016年「生鮮てるてる坊主」で川端康成文学賞。158cm、O型。

■構成/橋本紀子 ■撮影/黒石あみ

※週刊ポスト2018年4月6日号

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