自主退学を勧めた学校側の理由は、「母体の状況や育児を行う上での家庭の状況から、学業継続が難しいと判断した」「学校の支援態勢が充分ではなく、本人の安全が確保できないと判断した」というもの。
しかし、この中には、望まない退学に生徒が追い込まれていたケースもあるだろう。この結果を受けて、文科省児童生徒課は都道府県教委などに、安易な退学勧告を行わないよう求める通知を出した。
一般社団法人ライフデザイン・ラボの代表理事・白水崇眞子さんは高校現場での支援経験から、実際の「自主」退学件数はもっと多いのでは、と疑問を示した。
「高校は義務教育ではありません。本人が学びたいと願って入学しているのに、妊娠したから、体が変化するからといい、学校側が退学を勧める権利がどこにあるのでしょう。調査報告では“本人の健康面を考慮して”という理由がありますが、病気やアレルギーになった生徒に退学を勧めるでしょうか? いわゆる高校生の妊娠・出産が“不道徳”であり、その責任を女子生徒だけが負わされ排除されている印象です」
滋賀県内の公立高校で国語を教えている内藤由美さん(仮名・30才)は、学校側の本音をこう明かす。
「基本的には母子(生徒と胎児)とうまく共存していくことを考えますが、あくまで学業に支障がない場合の話です。出席単位が足りるのか、テストが受けられるのかとか、いろんな可能性を考えた時、難しいということになるんですよね。
それでも生徒が“退学したくない”というのであれば、学校側も受け入れていかなくてはいけない部分もあるのでしょうが、学校はその生徒だけのものではありません。クラスメートなどへの影響も考慮しなければなりません。特に多感な時期ですから、妊娠した子だけを特別扱いするわけにはいかない。そういった話し合いをしていく中、生徒や保護者が自主退学を決意されることも多いです」
※女性セブン2018年5月3日号