家庭内での居場所について語る
家庭内での微妙な“居場所”をユーモアたっぷりにぼやく木梨が、4月公開の映画『いぬやしき』で16年ぶりに主演を果たした。
役どころは、家庭にも会社にも“居場所”がなく、余命3か月の末期がんを宣告された58歳の冴えないサラリーマン・犬屋敷壱郎。どことなく木梨の姿と重なるが、映画は犬屋敷が機械の体に生まれ変わって活躍するという、最新VFXを駆使した奇想天外なSF作品である。
「このところ本格的なジジイになってきたなって実感する毎日ですよ。朝起きたらまず家の玄関先を掃除して、神棚の水を替えて手を合わせる。雨が降っていれば、『草木が喜んでるなあ』って嬉しい気持ちになる(笑い)。
帽子屋や仏壇屋の2代目といった昔からの仲間や、気の合う(藤井)フミヤやヒロミたちと飲みながら、『最近どうよ? 奥様とか!?』なんて毎回同じ話を延々とし続けるのが生きる喜びなんです(笑い)」
長年関わってきた仕事が区切りを迎え、還暦を意識する年齢ともなれば日々心穏やかとはいかないはずだが、そんなことはどこ吹く風。軽やかに笑い飛ばしてしまうところが「木梨憲武的生き方」なのかもしれない。
今後の活動も、「夢中になれることに出会えば、ひたすら挑戦するだけ」と気負うところがない。24年前から本格的に始めた芸術活動は、6月のロンドンを皮切りに2020年の東京まで全国14か所を巡回する個展が始まる。
「アートに関するプロデューサーは成美さんなんです。余計なものを描いていると、『まさかそれ、出さないよね』なんて調子でピシッと言われています」