「実はこの時、本当の1位は『ビジネスレディー』だった。しかしそれではビジネスガールと代わり映えしない。ぼくは公募で7位だった『OL』を直感的に気に入ったので、『これを1位にしろ! 責任はおれが取る』と部下に命じて1位にしたんです(苦笑)」
櫻井さんの直感は大当たり。発表当初こそ「OLなんて流行らないよ」と酷評されたが、朝日新聞とNHKが他社に先駆けてこの言葉を使用すると風向きが変わり、半年余りの間に定着した。BGからOLに呼び名が変化したことで、働く女性たちの意識も変わっていく。
「働く女性が “ビジネスガール”と呼ばれていた頃は、会社での扱いだって“電話を取ってくれたりお茶を出してくれたりする、うちの女の子”。だから頼む方も頼まれる方も仕事ではなく、“お手伝い”といった感覚だった。だけどそれが“オフィスレディー”に変わることで自分のやっていることを“仕事”と認識するようになったのです」(櫻井さん)
当時、都内の会社で事務職をしていた女性が振り返る。
「ファッション誌で『OLの通勤ファッション特集』が組まれるようになるなど、私たちにスポットが当たっていると感じました。それまでは男性社員から今でいうアルバイトのような扱いを受けていたけれど、OLという言葉によって“同じ会社で働く戦力”と認識が変わったように思えたんです。一生懸命仕事をしていたので嬉しかったですね」
※女性セブン2018年5月3日号