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働く女性の意識変化史 “OL”という造語にまつわるマル秘決断

“OL”という造語の誕生秘話

 新年度になって初めて迎える金曜日の朝──東京・原宿のとあるオフィスはいつもより浮き足立った雰囲気。電話対応をするOLの声は弾み、パソコンのキーボードを打つ手さばきは軽やかだ。

 一見すればどこにでもあるような職場だが、よく見るとパソコンを打つ女性のひざに赤ちゃんがちょこんと座っている。この会社では「子連れ出勤」が認められているのだ。しかし、この子は別の女性社員の子供。母親と一緒に“通勤”するうちに社員たちに懐くようになったのだ。

 その日の夕方、街は会社帰りの女性であふれかえっていた。東京駅に向かう新人OLは会社に入って初めての「花金」にはしゃぐ。

「これから同僚と一緒に合コンなんです。この辺りは軽く飲んでも5000円とちょっとお高めだけど、大丈夫。たぶん相手におごってもらえますから(笑い)」

 彼女のように青春を謳歌する丸の内OLが今、大きな注目を集めている。きっかけは雑誌『東京カレンダー』(2017年11月号)が彼女たちを「丸の内にゃんにゃんOL」と名付け、そのモテっぷりを「生きてるだけで誘われる」と紹介したことだ。

 これを皮切りに、バカリズム(42才)がOLに扮したドラマ『架空OL日記』(日本テレビ系)、松岡茉優(23才)が“こじらせOL”を熱演した映画『勝手にふるえてろ』などさまざまなタイプのOLたちが日本のエンタメ界を賑わせている。子供を連れて働くのも、華やかなアフター5を満喫するのも、立場は違えどみんな同じOLだ。

 女性が社会に出て働くようになって半世紀以上が経ち、彼女たちは“心のよりどころ”を再び会社に求め始めている──。

◆縁故採用で入稿した日銀OL、会社の絆の強さゆえ彼氏の存在筒抜け

 現在のように女性が会社で働くようになったのは、終戦後のことだった。元日銀OLとして日本の戦後とともに歩んだ沓沢幾子さん(83才)が入行のきっかけを語る。

「あの頃は若い男がみんな兵隊にとられていたから、人手が足りないこともあったのでしょう。それで日本銀行も女性行員を募集し始めたんです」

 1953年、高校3年生だった18才の沓沢さんは、卒業後の進路として日本銀行への就職を希望した。その年の女子行員採用試験の受験資格は“高卒かつ縁故者”。

「つまり、女性は日銀行員の娘や妹など、血縁がないと試験すら受けられなかったんです。その一方で男性は縁故者でなくても受けられました。今なら絶対あり得ない制度だし、批判も浴びると思うけれど、当時は当たり前に感じたものです」(沓沢さん)

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