ライフ

0系新幹線の思い出 「相席食堂車」「冷水機の紙曲げコップ」

昔なつかしの0系新幹線(撮影:白川淳)

 愛嬌のある丸いフォルムの先頭部から、「団子鼻」の愛称で親しまれた初代0系新幹線。1964年、時速200キロを超える「夢の超特急」として高度成長とともに列島を駆け抜けた。東京~新大阪を走る12両の「ひかり」「こだま」は2クラス制。

「狭い青いモケットシートの2等に対し、深くリクライニングする金の布地シートの1等のシートは憧れだった」(60代男性)

「備えつけの冷水機が印象深い。紙を折り曲げて作るコップで水を飲んだ」(50代男性)

「初期の頃の車両はリクライニングしない椅子で、結構しんどかった」(60代男性)

「全席喫煙可能で座席に灰皿がついていた。車窓を眺めながらの一服が最高だった」(80代男性)

 中央にはサンドイッチやハムエッグなど軽食を提供する「ビュッフェ」を連結し、スピードメーターも掲げられた。1970年の大阪万博に際し、輸送力を増やすため16両編成に。1975年の博多延長時は7時間近い旅を楽しむため食堂車を連結した。

「家族でゆっくり座って帝国ホテルなど一流ホテルのカレーやハンバーグが味わえた。出張帰りの時も相席になった人と話に花を咲かせたものだ」(70代男性)

 1986年、0系は時速220キロに速度を上げたが、時速300キロで走る新時代の新幹線の登場で徐々に活躍の場を狭め、1999年には東海道新幹線から引退。2008年12月、新大阪から博多に向け出発した列車が最後となり、0系は44年にわたる活躍を終えた。

取材・文■白川淳

※週刊ポスト2018年5月4・11日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信フォト)
オフ突入の大谷翔平、怒涛の分刻みCM撮影ラッシュ 持ち時間は1社4時間から2時間に短縮でもスポンサーを感激させる強いこだわり 年末年始は“極秘帰国計画”か 
女性セブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン