最近の北の動きは、一手も打ち誤っていないと言っていい。
目まぐるしく動く北東アジアの国際政局に際して、日本は、自ら独自の情報を集めて、国家の舵取りに生かさなければいけなかった。だが、日本に入ってくるインテリジェンスには限界があった。この機会に日本は自らの弱点を知り、核・ミサイルといった牙をもっていないなら、「長い耳」を備えることで、わずかの異変から国家に忍び寄る異変を察知し、危機を回避するためのインテリジェンス能力を磨くことに力を注ぐべきである。
一連の危機が長きにわたった惰眠から覚める契機となることを切に願う。
【Profile】てしま・りゅういち/NHKワシントン支局長を務めた後、独立してインテリジェンス小説『ウルトラ・ダラー』、その姉妹編『スギハラ・サバイバル』がベストセラーに。『汝の名はスパイ、裏切り者、あるいは詐欺師』『外交敗戦』『たそがれゆく日米同盟』など著書多数。
●取材・構成/池田道大(フリーライター)
※SAPIO2018年5・6月号