野党議員:「相手は麻生グループの一員ですよ。こういうやり方をやめて、麻生グループとして社会的責任を果たすように求める考えはありませんか」
市役所:「発達障害にかかわる通所施設がこの筑豊からなくなる恐れもあることを鑑みて再度、5年間の無償貸し付けとさせていただいでおります」
野党議員:「そのように麻生グループの会社が言ったんですか?」
市役所:「そういう可能性もあるんじゃないかと推察しているわけでございます」
市役所側は、「土地をタダで貸さないと、支援センターが追い出されるかもしれない」と麻生側の意向を「推察」して無償貸与契約を延長し、市議会は委員会段階でいったんは契約案を否決したものの、本会議で逆転可決した。
◆妻と長男が取締役
戦前の「麻生炭鉱」をルーツとする麻生グループは、戦後セメント業に進出し、現在は全国屈指の規模を誇る「飯塚病院」(病床数1048。医師319人、看護師1100人)を中核に、専門学校、介護施設の経営を柱にして総売上高2571億円、連結経常利益約109億円(2017年3月期。大手信用調査機関調べ)に達している。
麻生氏は政界入りするまで株式会社麻生の社長を務め、現在は経営から退いているものの第3位の大株主だ(現在の社長は甥の巌氏)。妻の千賀子氏と長男・将豊氏は現役の同社取締役である。政治資金の面でも、麻生氏は麻生グループから献金やパーティ券購入など3年間で5096万円(2014~2016年)の資金提供を受けている。
副総理の「妻と息子」が役員に名を連ねる会社の「ご意向」を役所が忖度し、その結果、副総理が大株主の会社が公有地の無償貸与延長という実利を得た──という構図だ。飯塚市議会の重鎮である森山元昭・自民党市議はこう語る。