「実際のところ、3場所前が平幕かつ、直前場所で9勝や10勝で大関に昇進した例は過去にありません。平成に入ってからだと、2015年5月場所の照ノ富士(十両8)が、“3場所前が平幕ながら大関昇進”を果たした唯一の例ですが、この時は5月場所で優勝(12勝3敗)している。そういう具体例を挙げた正論を持ち出されると、“一兵卒の反論”でも無下には扱えなくなる」(同前)

 ここで大きいのは、貴乃花親方が現役時代に“厳しい基準”を突破して横綱への道を歩んだキャリアの持ち主であることだ。

 1993年初場所後に大関昇進を果たした際は、3場所合計で35勝という成績だったし、何より際立つのは横綱昇進時の成績だ。1994年九州場所で、双葉山以来となる「大関での2場所連続全勝優勝」という文句のつけようがない成績をあげて横綱昇進を果たし、角界の最高位にのぼりつめた。

「その後も実績を残し、一代年寄が認められた貴乃花親方は“厳しい条件を課してこそ、力士は力を磨き、土俵の充実につながる”という考えの持ち主だし、その言葉にはこれ以上ない説得力がある。審判部の会議を多数決で突破しようにも、マスコミから意見を聞かれれば、貴乃花親方は素直に“同意しかねる”というのではないか」(同前)

 栃ノ心の昇進が“既定路線”であるかのようなムードが盛り上がったことで、思わぬところで新たな火種が生まれているというのだ。

※週刊ポスト2018年5月25日号

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