ゴールデンウイークが明け、競技場上部(西側)の明治神宮の森も鮮やかな新緑に染まる。
手前(東側)の木々に囲まれた明治神宮外苑には、大正15年に明治天皇の業績を称えるために建てられた聖徳記念絵画館が見える。建築アナリストの森山高至氏が解説する。
「絵画館周辺の樹木に比べると、高さ約50メートルの新国立競技場の大きさがよくわかります。今はグレーの無機質な外観ですが、建築家・隈研吾氏が目指すのは“杜のスタジアム”。木目の庇や外壁への植栽が予定されているので、これからガラリと変わると思います。
今後懸念されるのは、来年春まで続く屋根工事です。『ユニット鉄骨』と呼ばれる縦長の屋根先端部分をクレーンで持ち上げて屋根上部の根元部分に接合する、競技場建設最難関ともいえる工程です。高所での作業となり風の影響を受けやすいため、夏場の台風シーズンは難易度が格段に上がり、万全の注意が必要となります」
クレーンが稼働する競技場の周囲は植樹が計画され、完成時には緑に囲まれたスタジアムが姿を現わす。
●撮影/小倉雄一郎
※週刊ポスト2018年5月25日号