国内

同居母の死を2日後に発見した女性「私が悪いのでしょうか」

孤独死遺体には引き取り手のないケースも(撮影/アフロ)

 親と同居はしているが折り合いが悪くほとんど顔を合わせていない、日中は仕事で親をひとりにしている、高齢の親を呼び寄せ同居を始めたが会話はあまりしていない…あなたの周りでこんな家庭に心当たりはないだろうか。今、こうした環境で孤立する高齢者が後を絶たない。さらには、同居をしているのに、孤立状態で異常死を遂げる「同居孤独死」も増えているという。「老後は家族と一緒が幸せ」という概念を考えなおす時が来ているのだろうか──福岡県遠賀郡の民生委員がこんなケースを紹介する。

「同居している息子に毎日のように罵倒され、逃げるように1人暮らしを始めたお爺さんもいます。もう80代と高齢なのに、長年住んだ自分の家から息子に追い出されるなんて、本当に不憫でした。半年後、お爺さんはアパートの部屋で一人で亡くなってしまったのですが、息子は病院にも来ず、葬儀も全てこちら任せ。最後まで顔を見せることはありませんでした」

 引き取り手のない遺体の葬儀を行う葬儀社「富士の華」の元木正一さんが言う。

「身内が亡くなったことを知らせても葬儀に参加せず、『お金は払うから勝手にやってくれ』と言う遺族は少なくありません。遺体の死亡届を提出するためのサインを求めても、『別の人に頼んでください。故人とは一切かかわりたくない』と言われることもあります。実際の葬儀の時には私たちが故人の骨を拾わせていただくのですが、寂しい気持ちになりますね」

 だが歴史を紐解けば、そうした感情も、近代になってから培われたものだという。古典エッセイストの大塚ひかりさんが話す。

「日本人全体が老人を敬うようになったのは、江戸時代に儒教思想が普及してからです。それ以前の古代や中世の老人は、基本的に社会のお荷物とされていました。息子が老母を背負って山に捨てに行く『姥捨て山伝説』は事実ではないともいわれていますが、全国津々浦々に残っているのは、それだけ共感を呼んだからでしょう」

 大塚さんは、今起きている同居孤独死は、昔話『舌切り雀』の原話とされる鎌倉時代の物語で説明できると話す。

関連記事

トピックス

24時間テレビで共演する浜辺美波と永瀬廉(公式サイトより)
《お泊り報道で話題》24時間テレビで共演永瀬廉との“距離感”に注目集まる…浜辺美波が放送前日に投稿していた“配慮の一文”
NEWSポストセブン
芸歴43年で“サスペンスドラマの帝王”の異名を持つ船越英一郎
《ベビーカーを押す妻の姿を半歩後ろから見つめて…》第一子誕生の船越英一郎(65)、心をほぐした再婚相手(42)の“自由人なスタンス”「他人に対して要求することがない」
NEWSポストセブン
ネット上では苛烈な声を上げる残念な人がうごめいている(写真/イメージマート)
ネットで見かける残念な人たち…「朝ドラにイチャモン」“日本人じゃないと思う”の決めつけ【石原壮一郎さん考察】
NEWSポストセブン
荒川区には東京都交通局が運行している鉄道・バスが多い。都電荒川線もそのひとつ。都電荒川線「荒川遊園地前」そば(2020年写真撮影:小川裕夫)
《自治体による移動支援の狙いは》東京都はシルバーパス4割値下げ、荒川区は実質0円に 神戸市は高校生通学定期券0円
NEWSポストセブン
阪神の主砲・佐藤輝明はいかにして覚醒したのか
《ついに覚醒》阪神の主砲・佐藤輝明 4球団競合で指名権を引き当てた矢野燿大・元監督らが振り返る“無名の高校生からドラ1になるまで”
週刊ポスト
韓国整形での経験談を明かしたみみたん
《鼻の付け根が赤黒く膿んで》インフルエンサー・みみたん(24)、韓国で美容整形を受けて「傷跡がカパッカパッと開いていた…」感染症治療の“苦悩”を明かす
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
「戦争から逃れてアメリカ移住も…」米・ウクライナ人女性(23)無差別刺殺事件、犯人は“7年間で6回逮捕”の連続犯罪者
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《眞子さんが見せた“ママの顔”》お出かけスリーショットで夫・小室圭さんが着用したTシャツに込められた「我が子への想い」
NEWSポストセブン
大ヒット上映を続ける『国宝』の版元は…(主演の吉沢亮/時事通信フォト)
《映画『国宝』大ヒット》原作の版元なのに“製作委員会に入らなかった”朝日新聞社員はモヤモヤ  「どうせヒットしないだろう」とタカをくくって出資を渋った説も
週刊ポスト
米マサチューセッツ州で18歳の妊婦が失踪する事件が発生した(Facebookより)
【犯人はお腹の子の父親】「もし私が死んだらそれは彼のせい」プロムクイーン候補だった18歳妊婦の失踪事件「# findKylee(# カイリーを探せ)」が最悪の結末に《全米に衝撃》
NEWSポストセブン
不倫の「証拠」にも強弱がある(イメージ)
「不倫の“証拠”には『強い証拠』と『弱い証拠』がある」探偵歴15年のベテランが明かすまず集めるべき「不貞の決定的証拠」
NEWSポストセブン
違法賭博胴元・ボウヤーが激白した「水原と大谷、本当の関係」
《大谷から26億円送金》「ヘイ、イッペイ。翔平が前を歩いてるぜ」“違法賭博の胴元”ボウヤーが明かした「脅しの真相」、水原から伝えられていた“相棒の素顔”
NEWSポストセブン