この場所でケガを悪化させた貴乃花は、翌11月場所は全休。年明けの2003年1月場所では、出島と安美錦(ともに平幕)に敗れ、“自分の相撲が取れなくなった”として8日目に引退を決意した。
「貴乃花の“引き際”を巡ってはファンの声も二分された。休場が続いていた時期には、“ケガが治ればまだやれる”という期待があった一方、“もう限界じゃないか”という声もありました。7場所連続休場の直前となる2001年5月場所の優勝決定戦は、貴乃花がケガの痛みを堪えながら、“鬼の形相”で武蔵丸を下して優勝を果たした“伝説の一番”だった。ケガが酷いのであれば、伝説の一番から時間を空けずに“惜しまれながら引退”したほうが美しい引き際ではなかったか、という声は今もある」(同前)
2場所連続負け越しで関脇に落ちる大関と違い、横綱に「陥落」はない。あるのは「引退」だけであり、それだけに引き際の判断は難しくなる。
※週刊ポスト2018年6月1日号