国内

安倍語録が危険な理由は役人に二重三重の嘘を重ねさせる点

記憶の操作は自由自在?の柳瀬氏(時事通信フォト)

 森友・加計問題は収束の気配を見せず、自信を持っていた外交でも“蚊帳の外”──安倍晋三首相が隘路に嵌まり込んだ原因を辿っていくと、首相自身の「言葉」に行き着く。訂正すれば政権が吹っ飛ぶようなことを簡単に言い切ってしまう。総理大臣の言葉の「耐えられない軽さ」によって、失われた国益は、あまりに大きい。

 例えば、森友問題をめぐる有名な次の言葉には、自分の行為の正当性を強調する副詞が何重にも重ねられている。

「私も妻も『一切』、この認可にも国有地払い下げにも関係ないわけでありまして、私や妻が関係していたということになればこれは『まさに』私は『間違いなく』総理大臣も国会議員も辞めるということは『はっきりと』申し上げておきたい」(2017年2月17日、衆院予算委員会)

『一切』『まさに』などを省けば明瞭な日本語になっているのだが、この強調が大きな二次被害をもたらした。佐川宣寿・前国税庁長官は国有地売却の「交渉記録は破棄した」とウソをつき、近畿財務局の役人たちは「首相夫人」の関与が記述された公文書改竄にまで手を染めた。

「総理大臣が発した言葉」につじつまを合わせるために、公文書という「国家の歴史」が書き換えられたといっても大袈裟ではない。「腹心の友」と呼ぶ加計孝太郎氏が理事長を務める加計学園への獣医学部認可問題でも、同じことを繰り返した。

「(学園理事長が)私の友人だから認めてくれ、などという訳のわからない意向がまかり通る余地など『まったく』ありません。審議に携わった民間議員のみなさんもプロセスに『一点の曇りもない』と『断言』されています」(2017年6月24日、神戸「正論」懇話会)

関連キーワード

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト