一方の外科医はどうか。
「実は過去の研究では、外科医も『若いほうが患者の死亡率が低い』という結果が出ていました。しかし、その研究では、若い外科医は難易度の低い手術を担当していただけである可能性が指摘されていました。
そこで、私たちの研究では、緊急手術に限定することでこうした要因を排除したところ、高齢の外科医のほうが死亡率が低いという結果が出た。手術の技術向上には、やはり経験が必要不可欠であることが証明されたといえます」
ただし、高齢の外科医なら誰でもいいというわけではないという。医療の現場では、加齢によって技術に衰えを感じた外科医は、手術をやめて外来中心になったり、管理者になったりする。
つまり、60歳過ぎても手術を続けられる外科医は、まだ衰えを見せず、周囲からも腕がいいと認められている人である可能性が高いといえる。
※週刊ポスト2018年6月1日号