「『やっと定年になったから、2人で世界中をクルーズしよう』といっても、奥さんが本当に喜んでくれるかどうかは疑わしい。それよりも『留守の間の心配はいらないから、楽しんでおいで』と奥さんを気持ちよく旅に出してあげるほうが、旦那の株はグッと上がります。その間に生まれたひとりきりの時間は、自分の趣味に没頭する。そうしてお互いの時間を楽しんだほうが精神的にはずっといい」
子や孫との関係も、孤独を受け入れれば自ずと変わってくる。「もっと孫を連れてこい」とせがめば「しつこい」と思われ実家への足を遠のかせることになりかねないが、「年に1回でも元気な顔を見られればいい」と考えれば気が楽になる。
友人関係も同様だ。
「今でも高校時代の同級生には時々会うことがありますが、社会に出て長く別々の環境におかれてきたのだから、価値観は違って当然です。その前提を持てれば、旧友ともストレスなく付き合える。自分の考えを認めてほしいとも思わないし、相手の生き方に干渉したり、意見しようとも思わない。歳を重ねてからの友人関係というのはそのようなものでいいのではないか」(前出・小田嶋氏)
◆「耐える楽しみ」もある
『極上の孤独』著者の下重暁子氏は「孤独を楽しめる男性は女性から見ても魅力的に映ります」と話す。