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椎間板ヘルニア 60歳前後で手術に踏み切ってしまうのは早計

根治しないことも考えたほうが良い

「まだ一線で働きたい」という人も多い60代。疾病は完全に取り除いて健康体を取り戻したいと考えがちだが、「根治しなくてもいい」と判断できる病気は少なくない。

 その一つは、重度の腰痛を引き起こす椎間板ヘルニアだ。椎間板とは、背骨と背骨の間でクッションの役割を果たす組織のこと。椎間板ヘルニアになると、椎間板の中にある髄核という組織が外にはみ出して神経を圧迫し、腰痛や足の痺れが生じる。

 この病気の主な治療法は投薬だ。非ステロイド性消炎鎮痛薬、アセトアミノフェンなどが主に使われ、特に痛みが強い場合は神経ブロック注射が行なわれることもある。

 そして、これらの投薬でも改善しない場合は、椎間板ヘルニア後方摘出術などの手術が検討される。しかし、60歳前後で椎間板ヘルニアに悩まされている場合、手術に踏み切ってしまうのは早計ということが多い。清水整形外科クリニック院長の清水伸一医師が解説する。

「若い頃は運動量が多く、椎間板にかかる圧力も大きいため、動けなくなるほどの痛みが生じることもある。そうなると手術が必要です。しかし50代あたりからは椎間板の機能が低下し、髄核が神経を圧迫する力が弱くなる。そのため60代になると自然に強い痛みが生じにくくなります。

 また40~50代の働き盛りと違って60代は体を休められる時間が多くなる。鎮痛剤を飲んで安静にすれば、自然と痛みを抑えられる可能性が高い」

 手術をしても姿勢や生活習慣など根本的な原因が解決されなければ、再発の可能性も大きい。「身体に麻痺が出るような重篤な症状でなければ、メスを入れるのには慎重になったほうがいい」(同前)というのだ。

※週刊ポスト2018年6月8日号

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