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入浴は健康にもよいが体への負担も、湯温は39℃±1度程度で

入浴事故の要因は温度差(写真/アフロ)

 湯船に浸かるとそれだけでモヤモヤが解消し、健康にもなる。そんなふうに感じる方も多いかも。しかし、入浴は健康効果がある一方、体への負担も大きいという。

 入浴好きが高じて温泉や入浴に関する研究を深め、温泉療法専門医の植田理彦博士を顧問とする『高齢者入浴アドバイザー協会』を立ち上げた鈴木知明さんはこう語る。

「特に温度差、水圧は血圧や心拍を直撃するので要注意。また、湯温だけでなく脱衣場と浴室の温度差にも気をつけましょう。服を脱ぐだけでも温度差で血圧が上がります。冷房が効く夏場も、脱衣場が寒くならないように注意を。湯温はぬるめの39℃±1がおすすめ。熱い湯が好きな人も、最初は低めから。心臓から遠い足先から順に桶10杯ほど湯をかけ、湯温に慣れさせます。女性はあまりしませんが、頭からかぶると脳貧血予防になります」

 そして鈴木さんが強調する高齢者への最大のアドバイスは、最初の浸かり方だ。

「いきなり首まで浸かると、心臓への圧迫が強すぎます。浴槽にイスなどを置いて、まず初めの3分ほどは肋骨の下まで湯に浸かる半身浴を。その後はゆっくり肩まで浸かり、どうしても熱めが好きなら湯温を上げてもよいでしょう」

 浸かりっぱなしよりも、浴槽縁に座ったり体を洗ったりしながら、5分→休→8分→休→3分と浸かる時間を分割する(分割湯)と、体に負担をかけずじっくり温まる。また湯の中で手先足先をこまめに動かすと、効率的に末端の血流がよくなるという。

「血圧は、入浴直後に上昇後、徐々に下がりますが、急降下すると転倒の危険もあるので高齢者は要注意。勢いよく湯から立ち上がるのはNGです。上がる前に手先だけ冷水に浸して慣らしてから立ち上がるとよいでしょう。また浴後は体をよく拭いて肌を乾かし、充分休むことが大切。湿ったまま冷風に当たると、体に負担になります」(鈴木さん、以下同)

 入浴中は汗などで400~500mlもの水分が奪われる。入浴15~30分前と浴後にコップ1杯の水も必須だ。

「就寝中は水分補給ができず、もっとも血液粘度が高くなるのが朝。起き抜けの朝風呂、同じ理由で運動直後の入浴は避けた方が安全です。また食後すぐの入浴は、消化不良の原因になるので注意を」

 また、日常のお風呂だけでなく、温泉も堪能するとよいと鈴木さんは言う。

「温泉は地球の恵み。日本全国47都道府県すべてに温泉があります。無類の温泉好きとしては、どの泉質もそれぞれのよさがあり、どこもおすすめです。むしろ全国の温泉を訪ね歩き、“日常から離れてお湯を楽しみに来た”というワクワク感こそが、もう1つの健康効果なのです。

 眺めのいい露天風呂の開放感はもちろん、大浴場の大きな湯船に浸かるとよりα波(リラックス効果)が出るという研究結果もあります。高齢者やそのご家族は、ぜひ注意点をよく知っていただき、入浴の健康効果と幸せ感を存分に楽しんでください」

※女性セブン2018年6月21日号

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