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大病院で「画像診断の見落とし」による死者が急増

最新の機械でも、見る人が悪ければ…(時事通信フォト)

「がんの疑いがある」という指摘が見落とされ、患者の命が失われた。そんな悲劇が起きてしまったのは千葉大学医学部附属病院。発覚したきっかけは2017年7月、50代の男性が肺がんの疑いで同病院の呼吸器内科を受診したことだった。

 担当した医師が男性の過去のカルテを調べたところ、約1年前、頭頚部腫瘍の確認のため、CTによる検査を受けていたことが分かった。その画像診断報告書に、「肺がんの疑いがある」と書かれていたことが発覚。当時の担当医がそれを見落としていたため、治療開始が1年遅れてしまったのである。

 千葉大病院によれば、CTの画像診断報告書を作成する放射線診断専門医(画像診断を専門に行なう放射線科医)は、肺がんの可能性を指摘していたが、担当医が専門領域である頭頸部のみに注目したため、確認ミスが起きた。

 これを機に、千葉大病院が院内調査を行なったところ、同様のミスが2013年以降、9件あったことが分かり、6月8日に公表した。

 9人のうち2人は手術もできず、いずれも死因となったがんが確認されてから約2か月後に亡くなった。病院は、診断の遅れと死亡との因果関係について「あったと言われればその通りだ」としている。

 近年、日本全国の病院で同様の問題が起きている。昨年2月に慈恵医大病院で、10月には名古屋大学医学部附属病院、横浜市立大学附属市民総合医療センターと、多くの患者を抱える大病院で「画像診断の見落とし」が起きていたことが明らかになった。

 医療事故の分析などを行なう「日本医療機能評価機構」によると、画像診断報告書の確認ミスは2004~2013年の10年間で17件報告されていたが、2014~2017年の4年間だけで41件に急増したという。

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