国内

全国で地震頻発 首都直下地震を誘発する可能性は?

首都直下地震を誘発する可能性が(時事通信フォト)

 6月18日の朝7時58分、大阪北部を震源として直下型地震が発生した。マグニチュード6.1、最大震度6弱の揺れに、5人の死者が出た。今回、不気味なのは大阪地震の前から、全国で地震が頻発していることだ。6月に入ってから、千葉県の房総半島沖で「スロースリップ」によるM4クラスの地震が、大阪地震の2日前まで断続的に続いた。

「スロースリップとは地下のプレートの境界がゆっくりとずれ動く現象で、それによって地震活動を引き起こし、過去には震度5弱の揺れを伴うものもありました。ゆっくり滑っている場所の横に大きな『固着域』があると、そこがバチンと割れるように大きな地震を誘発する可能性があります」(元気象庁精密地震観測室室長の岡田正実さん)

 さらに、大阪地震の前日17日には群馬県で震度5弱の地震が発生。県内の4市にまたがる「大久保断層」によるものと見られている。立命館大学歴史都市防災研究所・環太平洋文明研究センター教授の高橋学さんはこう指摘する。

「大阪地震は『フィリピン海プレート』の圧力が強まることによってユーラシアプレートの内部の断層が動いて起きたと考えられます。実は、そのフィリピン海プレートの東端に当たるのが千葉です。群馬の地震も、同じようにフィリピン海プレートの圧力で発生したと見られます。もう少し広い範囲でフィリピン海プレートを見ると、南の方で沖縄や台湾、フィリピンでも最近、地震が増えているんです。2016年に地震が起きた熊本や原発のある鹿児島、愛媛を含む地域は、日本最大の断層に沿ってフィリピン海プレートの影響を受ける場所で、一斉に地震が起きている印象があります」

 日本の関東地方の地下は、とくにプレートが何枚も重なり合う場所なので、さまざまな要因で「首都直下地震」が起こるとされるが、その中でも特に大規模な揺れを起こすとされるのが「相模トラフ」だ。相模トラフとは、フィリピン海プレートと大陸プレートがぶつかり合う境界面を指す。つまり、千葉、群馬、大阪と繋がるフィリピン海プレートの活発化が、近々、首都直下地震を誘発する可能性があるということだ。

 さらに甚大な被害を起こすと懸念されているのが「南海トラフ」だ。政府の中央防災会議の試算によれば、死者数は最大で32万3000人という想像を絶する被害が想定される。この南海トラフも同様に、フィリピン海プレートが大陸プレートに圧力をかけることで起こる。

「2016年の熊本地震では、まず日奈久断層帯を震源とするM6.5の地震が起こり、その2日後に隣接する布田川断層帯を震源とするM7.3の“本震”が発生しました。その後、阿蘇地方や大分県にも飛び火するように震源域が広がり、地震が連鎖的に続いた。この地域は関東地方まで続く中央構造体という大きな断層の一部で、1つの断層の動きが各地に地震を引き起こした可能性はあります」(前出・高橋さん)

 今回の大阪地震では「有馬—高槻断層帯」が震源になったが、大阪市中心部の真上を通る「上町断層帯」の方が、発生確率はそもそも高かったので、大阪都心部もさらなる警戒が必要だ。

 いつ、どこで起きるかわからない大地震。「万が一」ではなく、「明日来る」覚悟で備えておくべきだ。

※女性セブン2018年7月5日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
麻辣湯を中心とした中国発の飲食チェーン『楊國福』で撮影された動画が物議を醸している(HP/Instagramより)
〈まさかスープに入れてないよね、、、〉人気の麻辣湯店『楊國福』で「厨房の床で牛骨叩き割り」動画が拡散、店舗オーナーが語った実情「当日、料理長がいなくて」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
50歳で「アンパンマン」を描き始めたやなせたかし氏(時事通信フォト)
《巨大なアンパンマン経済圏》累計市場規模は約6.6兆円…! スパイダーマンやバットマンより稼ぎ出す背景に「ミュージアム」の存在
NEWSポストセブン
保護者を裏切った森山勇二容疑者
盗撮逮捕教師“リーダー格”森山勇二容疑者在籍の小学校は名古屋市内で有数の「性教育推進校」だった 外部の団体に委託して『思春期セミナー』を開催
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
新宿・歌舞伎町で若者が集う「トー横」
虐待死の事例に「自死」追加で見えてきた“こどもの苛烈な環境” トー横の少女が経験した「父親からの虐待」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
NEWSポストセブン