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単身の高齢者が「狭小マンション」を購入するのは賢明か

 貧困問題だと捉えれば、解決策はある。日本国憲法第25条には「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とあり、生活困難者には生活保護が支給される。例えば東京都の場合は生活保護者の住居費基準額は単身世帯で月額5万3700円。これを受給すればアパートの家賃が賄える。

 高齢の単身者の場合、国民年金のみで生活するには持家でないと不可能である。しかし生活保護を受けるのはプライドが許さない、と考える方も多い。そういったしがらみを乗り越えて生活保護を受ければ「住むところがない」という事態は避けられる。

 さらに言えば、世の中には生活保護者専用の賃貸住宅を経営するオーナーも多い。生活保護世帯からは家賃はとりっぱぐれはない。転居も少ない。賃貸経営は安定するのだ。

「高齢者がアパートやマンションを借りにくい」というのは、かなり部分的な事象である。しかし、そういう現実が一部にあることも事実。そういったことを材料に、マンションデベロッパーは「20平方メートル台や30平方メートル台の新築マンション」を市場に送り出している。この構図はかなり不健全だ。

 分譲マンションを所有するということは、固定資産税や管理費などの支払い義務が生ずる。これは所有している限り永遠に続く。管理組合の一員としての、様々な義務も生ずる。しかし、賃貸ならば寿命と共にすべての義務が消滅する。

「高齢になったら住むところがない」という幻想に駆られて、資産価値の希薄な狭小マンションを購入することが、必ずしも賢明な老後対策とは言えないのだ。

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