国内

「未成年でも命を奪う罪の重さは同じ」 被害者遺族の声

相模原障害者施設殺傷事件を起こした植松聖被告

 2016年7月、神奈川県相模原市の障害者施設で発生した19人刺殺事件で逮捕された植松聖被告(28才)は、事件前、「障害者は生きていても仕方ない。安楽死させた方がいい」などと同僚に話したことから「措置入院」(自傷他害の傾向が強い人間を行政が強制的に入院させる制度)の手続きが取られていた。

 しかし入院から12日後に担当医が「他人を傷つける恐れがなくなった」として退院を認め、その5か月後に戦後最大の大量殺人が発生した。退院を許可した医師の判断や退院後のケアについて多くの疑問が投げかけられたのは、当然の流れだった。

 この点を踏まえて、被害者の遺族の立場から、服役囚の出所の制限に対してこんな意見もある。神戸連続児童殺傷事件で酒鬼薔薇聖斗こと少年Aに襲われた堀口めぐみさん(仮名 当時10才)の父親・堀口孝史さん(仮名 58才)はこう話す。

「刑務所や少年院では細かく精神鑑定などを行い、場合によっては刑期の延長や出所後の観察期間を義務付ける必要があると思います。少年Aの場合、仮出所後の保護観察期間があまりにも短かった」(孝史さん)

 実際、相模原の事件を受けて、措置入院患者の退院後の支援計画に警察が介入し、退院後に患者が転居した場合は本人の同意なく転居先の自治体に個人情報を通達できるなどの法改正が進められている。

 刑事罰の厳罰化も論点の1つだ。

「未成年であろうがなかろうが、人の命を奪うという罪の重さは同じ。残虐な事件の場合は加害者が未成年であっても刑を厳しくすべきです。現行の少年法では、18~19才の未成年者は保護の対象であり、刑事事件では原則として家庭裁判所の審判を受けます。

 2022年4月に選挙権年齢を18才以上に引き下げることに伴い、18~19才も保護の対象から外すべきです。また少年Aのような14才以下も刑事罰の対処となるよう少年法を改正してほしい。こうした厳罰化が犯罪を少しでも抑止することにつながるのではないでしょうか」(孝史さん)

 厳罰に処すべきは殺人犯ばかりではない。凶悪犯罪に詳しいジャーナリストの大谷昭宏さんは、「虐待親」にも厳しい対応が必要だと指摘する。

「目黒の虐待事件(5才の女の子が亡くなった)のように、通報を受けた児童相談所が親に面会に行って拒否された場合、3回拒否されたら強制的に親から子供を取り上げるなど罰則の強化が求められます。行政が権限を持ち、親を厳しくチェックし、問題があると判断した場合は即座に親子を引き離す。公的な権限を持った児童相談所が厳しく対応すべきです」

※女性セブン2018年7月12日号

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン