高嶋監督と馬淵監督
鼻息を荒くしてそう語るのは、高知・明徳義塾の監督・馬淵史郎だ。昨秋の明治神宮大会で初優勝した明徳は毎年、夏の大会前に智弁和歌山と定期戦を行っている。取材当日の明徳の監督室には、甲子園最多の通算68勝を誇る智弁和歌山監督・高嶋仁の姿もあった。智弁和歌山は今春のセンバツ決勝を含め、大阪桐蔭に5連敗中と、苦杯をなめ続けている。しかし、高嶋は夏に向けて「秘策がある」とも打ち明けていた。
「秘策を対戦する前に話す監督がどこにおるか(笑)。センバツに続き、近畿大会も負けてしまいましたが、夏に勝てばいい。だって、近畿大会の優勝旗は安いもん。夏の甲子園の(100回大会で新調される)深紅の優勝旗は、1200万円ですから」
打倒・大阪桐蔭に燃える全国の強豪校による包囲網は、両校を中心に敷かれている。高校野球界に名だたるふたりの名将が、大阪桐蔭対策を語った。
──智弁和歌山はセンバツ決勝、近畿大会決勝と、投手・根尾に抑えられた。
高嶋:追い込んだあとの高めのボール球の使い方がうまい。力がある選手であればあるほど、「飛ばしてやろう」と思ってそのコースに手を出してしまうんですよ。根尾君の140kmを超えるボールだと、高校生の技術では打てません。ただ、見極めさえできれば、苦しめることは可能でしょう。
馬淵:柿木君や横川(凱)君など、大阪桐蔭の投手陣は揃っていますが、現時点では根尾君が主戦でしょう。西谷(浩一・大阪桐蔭監督)君もそう考えている節がある。