◆「沖縄は かわいそうなんです」
駆け足でバスに乗り込むと、定刻通りに発車。乗客は約50人で、ほぼ満席だった。まず目に飛び込んできたのは、参加者たちの独特な中華ファッションだ。子供服のようなゴチャゴチャした柄物や、原色中心の派手な色使いが目立ち、尻が見えそうなほどのホットパンツを履いている女性もいる。眩しいのが苦手なのか、サングラス率も高い。年代は30~40代が中心。女性が6割ほどで、カップルや家族連れも多い。話しかけてみると、北京や上海、南京といった都市部出身者、日本留学経験者などが目立ち、裕福そうな人ばかりだった。
車両が動き始めると、アラフォーの女性ツアーガイドがマイクを握り、中国語で話し始めた。
「本日のバスは公共バスと同じです。人間がバスを待つことはできますが、バスが人間を待つことはできません!」
と繰り返し強調。続いて、日本と中国の基本的な違いから説明を始めた。
「時差は1時間。交通ルールは日本は自動車が左側通行。水道水は飲むことができ、トイレットペーパーは便器にそのまま流せます」
しばらくすると、バスは鉄条網で囲われた嘉手納基地の前を通過した。