●ベンゾジアゼピン系睡眠薬・抗不安薬
「65歳以上では認知症や骨折などのリスクの増加が指摘されている。2003年の英医学誌『サイコロジカル・メディシン』では、10年以上常用した65歳以上の人が服用を中止しても、睡眠の状態は変わらず安定していたと報告された」(石原医師)
●抗凝固剤(ワルファリン)
「血栓の生成を防ぎ、原則として一生涯の使用が前提の薬だが、2016年の米医学誌『チェスト』によると、70代と比べて85歳以上は出血リスクが増大する。85歳以上で2年間塞栓症の発症がなければ、服用中止を検討してよいでしょう」(石原医師)
●抗うつ薬(三環系・SSRI)
日本老年医学会のガイドラインで、65歳以上が「特に慎重な投与を要する薬物」に挙げられている。「65歳以上でのプラセボ効果の検証を行なったところ、偽薬群と比較して、寛解率に有意な差が見られなかったとする研究結果がある」(たかせクリニック理事長の高瀬義昌医師)
●抗ヒスタミン薬(第一世代のH1受容体拮抗薬)
「アレルギー反応を抑える薬だが、認知機能低下やせん妄のリスクがある。便秘や口腔乾燥といった症状を招くこともある」(高瀬医師)ため、日本老年医学会のガイドラインでは75歳以上への投与は特に慎重であるべきと記載されている。
●インフルエンザワクチン・肺炎球菌ワクチン
日本老年医学会のガイドラインでは〈高齢者での接種が勧められる〉と記載されている。「65歳以上の人では、ワクチン接種がインフルエンザや肺炎での入院を30%減少させ、死亡率を50%減らすことが確認されている」(高瀬医師)