●非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)
「鎮痛剤として広く利用されるが、胃の粘膜を保護する物質のはたらきを抑えてしまい、消化管出血や腎障害を起こすリスクがある。胃腸のはたらきが弱まる75歳以上の高齢者は、長期的な使用は避けたほうがよい」(石原医師)
●消化性潰瘍治療薬(プロトンポンプ阻害薬)
65歳以上の患者を対象とする厚労省の指針では、長期の投与により、大腿骨頸部などの骨折リスクなどが上昇すると指摘されている。「服用を続けるとアルツハイマー型認知症のリスクが増大するという報告もある」(高瀬医師)
●抗ウイルス薬
厚労省の指針では、65歳以上の患者に対して抗ウイルス薬を長期にわたって投与した場合、薬剤耐性菌を増やす恐れがあると指摘されている。「とくに腎機能が低下した人の場合、有害事象の起きるリスクが高くなる」(高瀬医師)とされる。
●抗がん剤
国立がん研究センターが2017年に行なった、70歳以上の高齢者約1500人を対象とした調査で、74歳以下では抗がん剤の治療効果が認められるものの、75歳以上では服用しなかった場合と比べて生存率に大きな違いがないとする結果が出た。
◆日本老年医学会のガイドラインと厚生労働省の指針、その作成WG(ワーキンググループ)メンバーである高瀬義昌医師の指摘や、国内外の研究論文に詳しい石原藤樹医師の指摘を踏まえて作成した。
※週刊ポスト2018年7月20・27日号