「陳述書によって、どれだけ手をかけて育てたかが評価されれば、慰謝料額が変わる可能性はある。今回の福岡地裁の判決では、損害賠償額60万円のうち、慰謝料が40万円となったのは、ペットへの愛情が加算されたものだと考えられます」(前出・渋谷氏)
先述の判決の「60万円」は、現行法の中では妥当か、むしろ“飼い主寄り”の金額というのだ。
それでも飼い主側が納得いかないのは、愛犬や愛猫が「金額では計れない」存在だからに他ならない。経営コンサルタントでボランティア団体「エンジン01文化戦略会議」の動物愛護委員会で副委員長を務める堀紘一氏が言う。
「最近3匹目の愛犬を亡くしました。ペットは“遠くの孫より近くの愛犬”と言えるほど大事な存在。60万円という金額が妥当かどうかは、僕には判断できません。飼っている側からすれば、お金をいくら貰ったって癒されないというのが本音。『お金の問題じゃない、犬を返せ』という気持ちで、金額云々より誠意ある対応をしてほしいんです」
ペットを愛する飼い主にとって、“妥当な”損害賠償額など存在し得ないのだろう。
※週刊ポスト2018年7月20・27日号