スポーツ

小林祐希 米販売会社と美容サロンを経営する起業家の顔も

山形県で生産する有機栽培米の販売をスタートさせた

 西野ジャパンの躍進は、この男にも刺激になったに違いない。2016年5月、キリンカップのボスニア・ヘルツェゴビナ戦で日本代表デビュー、その後移籍したオランダ1部リーグのヘーレンフェーンでは、2シーズンにわたりコンスタントにプレーしてきたMF小林祐希。ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督の下ではたびたび代表に招集されていたが、本大会開幕を2カ月前にしての突然の指揮官交代も影響してか、ロシアW杯では予備登録メンバー35人からも漏れることになった。

 日本中がロシアW杯に沸いたなか、「4年後のカタールW杯で日本代表のキャプテンになる」という目標を掲げてすでに始動した小林。だが、一歩ピッチを離れれば、日本で米の販売会社をスタートし、オランダで美容サロンを開店させるなど起業家としての道も歩み始めた。現役サッカー選手が描く、ビジネス戦略について聞いた。(取材・文/栗原正夫)

 * * *
──昨年は岐阜県飛騨高山の酒蔵と組んで日本酒をプロデュースしたのを皮切りに、秋には会社も立ち上げ、山形県南陽市で生産された有機栽培米「夢ごこち」の販売をスタートさせました。また、2月にはアムステルダムで美容サロンもオープン。サッカー選手が現役中からビジネスを行うことには賛否ありますが、企業したキッカケは何だったのですか?

小林:いちばんのキッカケは、東京Vのジュニアユース&ユースで同期だった仲間、高野光司(*東京V、ギラヴァンツ北九州などでプレー。現在は小林のビジネスパートナーとして活動する)の引退です。光司は2016年に23歳で現役を引退することになりましたが、一緒にサッカーをやってきた仲間がこれからどうするんだろうって思いましたし、引退したら「さよなら」じゃ寂しいじゃないですか。

 引退後に指導者や解説者になる人もいますが、そうした仕事に就ける人は一握り。じゃあ、サッカーをやってきた人がほかの仕事をやったらダメかと言ったらそうじゃない。やっぱり、サッカーをやってプロにまでなるってすごいことだと思うし、仮に仲間が「あの人サッカー選手だったけどプロではダメだったとか」と言われてしまうとしたら悔しいじゃないですか。会社を立ち上げれば、今後も仲間でいられる。

 サッカー選手は「サッカーだけやってろよ!」って声もあるだろうけど、オレはサッカー以外のことをやっているからといってサッカーに集中していないわけじゃない。むしろ、オランダにいる時は1人でサッカーのことばかりを考えているけど、それだけだと頭が疲れる。もちろんサッカーをやっているときは楽しいけど、それ以外のことで自分のモチベーションを上げるのもいいじゃないですか。それに、企業と言ってもオレ自身は好きなことをやっているだけなんですけどね。

──将来的にはホテルを経営したいとか。

小林:ホテルをやりたい。とういうのも、自分が好きなものを集めて、人が集まる場所を作りたいんです。たとえば、いまこの取材を受けているレストランだって美味しいものがあるから人が集まっているわけで、自分の作るホテルに自分の好きなコンテンツがあったら最高じゃないですか。考え方としては相当イージーなんですが、オレはお酒や美味しいものが好きだし、ファッションも好き。だから、いいレストランがあって、いい美容サロンがあったら、そのホテルに行きたくなりますよね。オフに茶道や陶芸を体験したり、酒蔵や農家さんともいろいろコラボさせてもらっていますが、最後はみんなそこにつながっていくと思うんです。

──すでに具体的なイメージもあるようですね。

小林:例えばそのホテルのレストランで料理人を育成するシステムがあったり、優秀な女性が心配なく働けるようにホテル内に託児所を設けられたらいいですよね。それに、身体に障害のある人でも、その人の良さを生かして健常者と同じ待遇で迎え、プロスポーツ選手を目指しながら夢が叶わなかった人のセカンドチャンスの場にもできたらいい。別に偽善じゃなくて、そういう困っている人の受け皿になれたらと思うんです。

 1度失敗しても、やる気があればチャンスをあげたいですよね。オレだってオランダでトップ下で出たかったけど、監督に適性はボランチにあると言われて試合に出続けた。それだってアリじゃないですか。それを実現するためにも、いまはオレがピッチで頑張りたい。

関連記事

トピックス

芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン