◆加計問題との共通点
くだんのブランディング事業において東京医大は、「先制医療による健康長寿社会の実現を目指した低侵襲医療の世界的拠点形成」なる題目を研究テーマとして掲げてきた。低侵襲医療とは、手術などを避け患者の身体への負担をさける治療のことだが、その中身は前年の2016年とほぼ変わらない。
にもかかわらず1年後には審議会の審査に合格したというのだから、摩訶不思議だ。大学の選定方法はまず合格校の半分を26人の審査部会による採点で選び、残り半分を11人の審議会委員の投票で決定する。すると仮に11人の委員にパイプがあればOK、という話になりはしないか。
ブランディング事業の大学選びが、審議会のちょっとしたサジ加減で決まるのは、間違いない。特捜部は職務権限のないように見える立場の官房長であっても、事実上、絶大な影響力を行使できた、と睨んでいる。そしてその構図は、獣医学部の新設について安倍政権が有識者の議論で決まったと言い張ってきた国家戦略特区諮問会議のケースとよく似ている。
獣医学部の新設認可を巡る官邸サイドと文科省の前川喜平とのつばぜり合いは、すっかり有名になった。それとときを同じくし、加計学園は文科省のブランディング事業の第一弾として、その研究テーマを認められているのだ。
事業に対する助成の金額こそ年間3000万円程度と大きくないが、文字どおり大学のブランド戦略に力を貸す。それがこの制度の趣旨であり、大学側にとってこの上なくありがたいのである。