◆きっかけは政府の方針

「大学のブランド事業といえば、近大マグロなどが思い浮かぶでしょうが、他の大学にはあそこまでの発信力がありません。だから文科省に自分たちの研究テーマが採択されたとなれば、キャッチーな宣伝文句になり得る。決して技術そのものにお墨付きを与えるわけではなく、研究体制が整っているという意味で採択するのですが、事業に選定されれば、うちの大学はこういう研究テーマに取り組んでいるとPRしやすくなると思います。学校の看板として掲げる意味があるので、多くの大学に応募いただいたのでしょう」

 補助金を出す文科省高等教育局視学官の児玉大輔(私学部私学助成課長補佐)はこう話した。文科省のお墨付きを得るため、各私大は鎬を削っている。原則として1大学1つの研究テーマを掲げ、私学助成課に応募する仕組みだ。そんな文科省のブランド事業の出発点は、安倍政権の大学改革政策だという。

「きっかけは平成27(2015)年6月の閣議決定『まち・ひと・しごと創生基本方針2016』で、地方創生のために研究イノベーションを大学改革に活かすべきだという方針が示されました。と同時に、『科学技術イノベーション総合戦略2015』を閣議決定し、イノベーションの環境整備として大学改革をやろうとなった。そういった政府の方針を踏まえ、文科省で事業を立案したのです」(同前・児玉)

 折しも問題になった国家戦略特区制度による獣医学部の新設は、この文科省の補助金事業が立案されていった2015年から、その動きが加速する。理事長の加計孝太郎をはじめ、愛媛県や今治市が獣医学部新設のため、官邸や政府に働きかけていった時期だ。獣医学部計画を巡る2015年の動きを改めて振り返ると、次のようになる。

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