医学が目覚ましい進歩を見せる一方で、いま「漢方」の力が見直されている。2000年以上の伝統を持ち、西洋医学の薬とは違った作用機序による効果が期待できる漢方薬を、様々な分野の名医たちが、改めて高く評価しているのだ。
では、どの漢方を、どんな状況・タイミングで飲めばいいのか。耳鼻咽喉科医の笠井創氏が「自分でも飲んでいる漢方」を明かす──。
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30年近く前の開業以来、多くの漢方薬を試してきました。漢方は様々な薬効成分が混じった複雑なつくりになっていて、その人に合うかどうかは使ってみなければ分からない。試行錯誤が必要でした。
結果、風邪の初期で鼻詰まりの症状が強ければ、葛根湯加川キュウ辛夷(カッコントウカセンキュウシンイ)を朝昼晩、1日3回飲むようにしています。苦くないので飲みやすい漢方です。大抵は1度飲むだけで症状が和らぎ始めますが、1~2日で効果が感じられなければ、抗生物質などに切り替えます。
ただ、抗生物質を使い続けると、薬が効かない耐性菌が出る可能性がある。症状が長引く場合は約1週間後から再び、症状に応じて漢方薬を使っていく。