国内

移民推進派が主張する「人口減で労働力不足」は本当なのか

経済アナリストの森永卓郎氏

 政府は6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)で、外国人労働者の受け入れ拡大を発表した。新たな在留資格を創設し、「建設」「農業」「介護」といった5業種を対象に、5年を上限に外国人労働者の在留を認める。2025年頃までに50万人超の外国人を受け入れるという。

 政府は移民政策ではないと強調しているが、既存の技能実習(最長5年)を終えた外国人がこの制度を利用すれば、最長10年日本に在留できる。だが、森永卓郎氏は「移民反対」の立場から、推進派の論拠となっている「労働力不足」に疑問を呈する。

 * * *
 外国人が、技能実習後に新制度で在留資格を得れば、最長10年在留できる。現行法では5年以上、日本に住所を有すれば原則として帰化が認められるため、今後大量の“帰化日本人”が誕生する可能性が高い。

 若い外国人労働者が10年も日本に暮らしていれば結婚もするだろうし、子供も生まれるだろう。親の母国を知らず日本で育った子供を、期限が来たからといって母国に強制的に帰国させられるだろうか。

 人権問題も懸念される。欧米諸国には劣等感を抱きながら、途上国には優越感、差別意識を持つ日本人は確かにいる。社会の最下層に組み込まれた外国人がいわれのない差別を受ける怖れがある。

 外国人労働者の流入で賃金が低下し、日本人の貧困層が増加すれば「すべてアイツらが悪い」との被害感情が強まることが予想される。大量の移民が自国民の職を奪ったことで右傾化した欧州諸国のように、日本にも外国人排斥を唱える極右政党が躍進して社会不安が増すのだ。昨今のヘイトスピーチを見れば、これが決して荒唐無稽な予想ではないことが分かっていただけるだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

上原多香子の近影が友人らのSNSで投稿されていた(写真は本人のSNSより)
《茶髪で缶ビールを片手に》42歳となった上原多香子、沖縄移住から3年“活動休止状態”の現在「事務所のHPから個人のプロフィールは消えて…」
NEWSポストセブン
ラオス語を学習される愛子さま(2025年11月10日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまご愛用の「レトロ可愛い」文房具が爆売れ》お誕生日で“やわらかピンク”ペンをお持ちに…「売り切れで買えない!」にメーカーが回答「出荷数は通常月の約10倍」
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《10代少女らが被害に遭った“悪魔の館”写真公開》トランプ政権を悩ませる「エプスタイン事件」という亡霊と“黒い手帳”
NEWSポストセブン
「性的欲求を抑えられなかった」などと供述している団体職員・林信彦容疑者(53)
《保育園で女児に性的暴行疑い》〈(園児から)電話番号付きのチョコレートをもらった〉林信彦容疑者(53)が過去にしていた”ある発言”
NEWSポストセブン
『見えない死神』を上梓した東えりかさん(撮影:野崎慧嗣)
〈あなたの夫は、余命数週間〉原発不明がんで夫を亡くした書評家・東えりかさんが直面した「原因がわからない病」との闘い
NEWSポストセブン
テレ朝本社(共同通信社)
《テレビ朝日本社から転落》規制線とブルーシートで覆われた現場…テレ朝社員は「屋上には天気予報コーナーのスタッフらがいた時間帯だった」
NEWSポストセブン
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまのラオスご訪問に「感謝いたします」》皇后雅子さま、62歳に ”お気に入りカラー”ライトブルーのセットアップで天皇陛下とリンクコーデ
NEWSポストセブン
竹内結子さんと中村獅童
《竹内結子さんとの愛息が20歳に…》再婚の中村獅童が家族揃ってテレビに出演、明かしていた揺れる胸中 “子どもたちにゆくゆくは説明したい”との思い
NEWSポストセブン
日本初の女性総理である高市早苗首相(AFP=時事)
《初出馬では“ミニスカ禁止”》高市早苗首相、「女を武器にしている」「体を売っても選挙に出たいか」批判を受けてもこだわった“自分流の華やかファッション”
NEWSポストセブン
「一般企業のスカウトマン」もトライアウトを受ける選手たちに熱視線
《ソニー生命、プルデンシャル生命も》プロ野球トライアウト会場に駆けつけた「一般企業のスカウトマン」 “戦力外選手”に声をかける理由
週刊ポスト
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン