その財務省では従来、本命と目されてきた主計局長岡本薫明(しげあき・57)が、事務次官に昇格し、国税庁長官には国税庁次長の藤井健志(55)が抜擢されることになった。これでいったん落ち着いたかにみえる。が、その実、財務省内部からはこんな声が漏れ伝わってきた。
「ふつう民間でも役所でも、人事はトップから決まり、そこから部下の配置がなされていくものです。ところが、今回の人事はさかさまでした。岡本、藤井という2トップの就任については、他省庁の幹部人事が発表された24日の閣議決定時点でさえ、われわれは報道で知っている程度。あまりに遅れすぎたせいでしょう。
トップ人事が決まる前の今週(15日からの週)には、部長、局長クラスの人事が先に決まり、週明けに内示が出ました。それで、二転三転した次官人事報道が本当かどうか、正式発表まで信じられない、なんて話まで出ていました」(財務省中堅幹部の話)
ここでは官邸人事の象徴とされる財務省トップ決定までの内幕を振り返り、さらにモリカケ問題で垣間見られた官邸による霞が関コントロールの核心に踏み込む。
◆知らなかったでは済まされない
セクハラ事件のせいでわずか1年で退任した福田淳一に代わり、岡本が異例の8月人事で事務次官に決まった。岡本は福田の1期後輩にあたる1983年入省組だ。