国内

歯科医事情通が指摘、「歯科情報サイトにはびこるステマ」

ネットの歯科情報サイトは「やらせ」が横行(写真/アフロ)

 歯医者に何度通っても、虫歯は治るどころか再発し、挙げ句の果てには、「歯を全部抜いてしまいましょう」──密室の診療室で歯医者の言うことばかり聞いていたら、一生悔やむ事態になりかねない。100人以上の歯医者、歯科衛生士、歯科技工士に取材を重ね『やってはいけない歯科治療』の著書もある岩澤倫彦氏が緊急レポートする。

「無料の歯科治療相談サイトで、患者の悩みにとても親切に答えるベテランの先生がいました。この人なら信頼できると思い、先生のクリニックに通院したのです」

 そう話してくれた元教師の女性(60代)は、出産時に歯周病や虫歯で歯を失っていた。“残りの歯を守りたい”という一心で、たどり着いたのが「無料の歯科治療相談サイト」だったという。

 通院してしばらくすると、女性の部分入れ歯が壊れた。すると、歯医者は女性に2つの選択肢を提示したという。

「その都度悪いところを治して、治療を何度も繰り返す」
「一生にわたって心身の健康に役立つ根本的な治療をする」

 女性は、迷わず後者を選んだ。すると、歯医者が「根本的な治療」として勧めてきたのは、残りの歯をすべて抜いて、インプラントに替える治療だった。費用は約350万円。女性は、こんな計算式で自分を納得させたという。

「残りの人生は30年あまり。治療費を1年あたりに換算すると約10万円。月額にして1万円以下。それなら何とかなると思いました」

 “残りの歯を守る”という本来の目的はすっかり忘れてしまっていた。歯医者のマインドコントロールにかかっていた、としか言いようがない。

 さらに、女性が利用していた「歯科治療相談サイト」は、契約している歯医者の回答内容をHPに転載するサービスを行っていた。これはインターネットの検索順位を上げるSEO対策を兼ねており、善意の第三者を装って患者を誘導する「ステルスマーケティング(通称、ステマ。消費者に宣伝や広告だと気づかれないように、宣伝行為を行い、消費に導くこと)」の一種だったのである。

 患者の治療体験などをクリニックの広告として利用することは、医療法で明確に禁じられている。

 また、その他、歯科予約サイトに連動した口コミも、「やらせ」が横行している。ネットには情報が氾濫しているが、歯科情報サイトの多くが患者を誘引する「ステマ」であることを念頭に置いてほしい。

 歯科治療の問題点を告発する記事を書いて2年あまりになるが、この間に実に多くの情報が寄せられている。不条理な対応、妥当とは言えない治療で苦しんでいる患者の大半が女性だった。

 密室となる診療室では、歯医者が支配的な関係性で治療方針を押し付ける傾向がある。 少しでも疑問を感じた場合は、治療を留保して、セカンドオピニオンを受ける勇気を持ってほしい。

 自分の歯を守ることができるのは、あなた自身しかいないのだから。

※女性セブン2018年8月23・30日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

世界陸上を観戦する佳子さまと悠仁さま(2025年9月、撮影/JMPA)
《おふたりでの公務は6年ぶり》佳子さまと悠仁さまが世界陸上をご観戦、走り高跳びや400m競走に大興奮 手拍子でエールを送られる場面も 
女性セブン
イベント出演辞退を連発している米倉涼子。
「一体何があったんだ…」米倉涼子、相次ぐイベント出演“ドタキャン”に業界関係者が困惑
NEWSポストセブン
起死回生の一手となるか(市川猿之助。写真/共同通信社)
「骨董品コレクションも売りに出し…」収入が断たれ苦境が続く市川猿之助、起死回生の一手となりうる「新作歌舞伎」構想 自宅で脚本執筆中か
週刊ポスト
インタビュー時の町さんとアップデート前の町さん(右は本人提供)
《“整形告白”でXが炎上》「お金ないなら垢抜け無理!」ミス日本大学法学部2024グランプリ獲得の女子大生が明かした投稿の意図
NEWSポストセブン
「LUNA SEA」のドラマー・真矢、妻の元モー娘。・石黒彩(Instagramより)
《大腸がんと脳腫瘍公表》「痩せた…」「顔認証でスマホを開くのも大変みたい」LUNA SEA真矢の実兄が明かした“病状”と元モー娘。妻・石黒彩からの“気丈な言葉”
NEWSポストセブン
女性初の総理を目指す高市早苗氏(写真/共同通信社)
「『男よりも男らしい』と言われて喜ぶタイプ」高市早苗氏は女性初の総理大臣になれるのか? その課題と現在地、小池百合子都知事との共通点も 
女性セブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ハワイ別荘・泥沼訴訟を深堀り》大谷翔平が真美子さんと娘をめぐって“許せなかった一線”…原告の日本人女性は「(大谷サイドが)不法に妨害した」と主張
NEWSポストセブン
須藤被告(左)と野崎さん(右)
《紀州のドン・ファンの遺言書》元妻が「約6億5000万円ゲット」の可能性…「ゴム手袋をつけて初夜」法廷で主張されていた野崎さんとの“異様な関係性”
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)の“過激バスツアー”に批判殺到 大学フェミニスト協会は「企画に参加し、支持する全員に反対」
NEWSポストセブン
どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン