国内

バスケ日本代表の不祥事に大人の男はどう反応すべきなのか

謝罪する選手と協会関係者(時事通信フォト)

 情報番組のコメンテーターでなくとも、“事件”に対してどう発言するかで周囲の見方は変わり得るものである。「大人力」を研究するコラムニストの石原壮一郎氏が考察した。

 * * *
 どう語ればいいのか、とても難しい問題です。インドネシアのジャカルタで8月13日から開催されているアジア競技大会で、出場していたバスケットボール男子日本代表選手の4人が、公式ウェアで市内の歓楽街に繰り出して買春行為をしたことが発覚しました。

 4人は代表認定を取り消され、8月20日に帰国。その日のうちに日本バスケットボール協会は記者会見を行ない、居並ぶ記者の前で4人に頭を下げさせました。日本選手団の山下泰裕団長やスポーツ庁の鈴木大地長官も、遺憾の意を示したり憤ったりしています。

 いっぽうで、擁護する声も少なくありません。21日放送の「スッキリ」(日本テレビ系)では、司会の加藤浩次さんが「相手も仕事でやっていることですからね」と言ったり、ツイッター上でもデヴィ夫人が「若気の至り、誰にも過ちはある」と書いたり、元航空幕僚長の田母神俊雄さんが「いいじゃないかそれぐらい。それでは日本のソープランドやファッションヘルスはどうして存在しているのか」と書いたりしています。

 本音では、擁護派の人たちと同じように思っているおっさんは少なくないでしょう(ここでは売買春の是非を論じたいわけではなく、おっさんとしてのあり方を追求しようとしています)。もし非難している側が、彼らが「買春」したことを問題にしているんだとしたら、多くのおっさんはそれに乗っかる資格はありません。イエス・キリストも「あなたたちの中で罪を犯したことのない者が、まず、この女に石を投げなさい」と言いました。

 ただ、昨今は平気で自分を棚に上げて、過ちを犯した「悪者」に嬉々として石を投げる人が山ほどいます。しかも、相手のやったことを本気で「許せないほど悪いこと」と思っているわけではなく、世間の風向きに乗っかっているだけ。おっさんといえども恥の概念を忘れてはいけません。こういうケースで、ちゃっかり高見に立って「ケシカラン!」と非難するような恥知らずにはならないようにしましょう。

「公式ユニフォームを着たままでそういうことをしたのがいけない」「日本代表としての自覚がない」「公費で行っているんだから慎むべきだ」と、別のもっともらしい理由を探してきて、自分の「叩きたい欲」を満たそうとするみっともない手法もあります。

 オリンピックでは選手村で大量のコンドームが消費されるのは有名な話だし、サラリーマンが会社のお金で行く出張先でそういう行為に及ぶケースが多いのもよく知っているはず。結局は風向きに乗って「叩きやすいところを叩いている」の域を出ません。

「ケシカラン!」と眉をひそめるのが、おっさんとして最低の見解だとしたら、もうちょっとマシな見解は何か。彼らの行為はさておき、「なぜバレたのか」「ハメられたんじゃないか(ハメたのではなく)」と裏事情を詮索したり、「何か大きな力が働いているんじゃないか」と陰謀論を語ったりすると、何となく物事を深く見通している気になれます。

関連キーワード

関連記事

トピックス

和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
几帳面な字で獄中での生活や宇都宮氏への感謝を綴った、りりちゃんからの手紙
《深層レポート》「私人間やめたい」頂き女子りりちゃん、獄中からの手紙 足しげく面会に通う母親が明かした現在の様子
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン