芸能

鈴木敏夫氏 ある美しいタイ人女性の中に「宮崎駿」を見る

ノンフィクション・ノベルを刊行した鈴木敏夫氏

 日本を代表する作品を次々と生み出してきたスタジオジブリは、この人なくしては存在しなかった──プロデューサー鈴木敏夫さんは、宮崎駿監督と今年4月に亡くなった高畑勲監督の2人の天才を励まし、時に振り回され、ぶつかりながらも力を引き出してきた。現在『君たちはどう生きるか』を制作中の彼が、初めてのノンフィクション・ノベル『南の国のカンヤダ』がこの度刊行になった。

 そこに綴られているのは、ある1人の美しいタイ人女性と、彼女に振り回される男たち(鈴木さん含む)の実話。どうしてもこの作品を書きたかったと話す鈴木さんは、彼女の中に宮崎駿さんを見たという。

 スタジオジブリの名プロデューサーが初めて手がけたノンフィクション・ノベルである。主人公は、マンションのエレベーターで偶然、知り合った、美しいタイ人女性カンヤダ。過去を悔やまず、未来を憂えず、いつも〈今、ここ〉を生きている彼女に、周囲が巻き込まれ、振り回される様子を実に楽しげに描く。

「カンヤダと家族、その友人の話にとどまらないで、ぼくの友人や担当編集者まで全部巻き込んで動かしていく、大きな物語として書いてみたいと思いました。

 世の中って偶然に偶然が重なるんですよね。ぼくとは25年来のつきあいになる、CGアニメーションの仕事をしているイタリア人のコルピさんなんて、日本にいたかと思うとバンコクへ行っちゃって。カンヤダと知り合い、彼女が家族ぐるみで働けるようにレストランをバンコクで始めちゃう。そういう不思議な人の縁も書いてみたかった」

 都会のマンションのエレベーターで乗り合わせただけの、鈴木さんとカンヤダがここまで親しくなるというのも不思議な縁だ。

「このマンションが特殊なのかな(笑い)? エレベーターで知り合って仲よくなった人が、30~40人はいます。たぶん100戸以上あると思うんだけど、エレベーターが1基しかなくて、同じ人と何度も出会うんですよ」

 大きなカバンを抱えた人がいれば、「カバンがでかいね」と話しかける。会話はそこで終わらず、ご飯を食べに行く関係になった人が20人ぐらいいるそう。エレベーターの中で知り合ったのは台湾や中国など外国の人も多かったが、カンヤダが他と違っていたのは、ニコリともしない愛想のなさだったという。

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン